「ザ・ロウ(THE ROW)」が復活させ、2024年のサマートレンドとして注目を集めた“ジェリーシューズ”が、今年も流行中だ。 キム・カーダシアンによる「スキムス(SKIMS)」のシューズが完売し、TikTokで盛り上がりを見せるなど、1980〜90年代からのリバイバルフットウエアは、25年夏のトレンドとしても存在感を示している。
「スキムス」のジェリーシューズは、通気孔のある“クレイ(Clay)”と呼ばれるヌードカラーが特徴で、価格は58ドル(約8500円)。公式オンラインストアでは現在売り切れている。
このトレンドについて、マリカ・アンドリュース(Malika Andrews)らセレブリティーのスタイリングを手掛けるレオン・グレイ(Leon Gray)は、「ジェリーシューズの復活の大きな要因は、ヘルシーで楽しいアクセントをファッションに与えるからだと思う。特に、ありったけの楽しいものを必要としている今の時代には!“ミレニアル世代のアイデンティティー”が再びクールなものになっていることと、『スキムス』による発売も相まって、TikTokで旋風を巻き起こし、ジェリーシューズの夏の定番アイテムとしての地位は確固たるものになった」と話した。また、「このトレンドで興味深いのは多様なブランドがジェリーシューズの個性をそれぞれに解釈し、遊び心溢れる本質をキープしながらも洗練されたデザインに仕上げていることだ。『ベロニカ・ビアード(VERONICA BEARD)』が最たる例で、ヒールタイプもフラットタイプも、あらゆるカラーで展開している」とコメントした。
実際、リバイバルトレンドに乗るのは「スキムス」だけではない。リアーナ(Rihanna) による“フェンティ×プーマ(FENTY×PUMA)”シリーズからは、ネオンカラーの”キャットクリートジェリーサンダル”、パリ発のシューズブランド「ノダレト(NODALETO)」からは、「メリッサ(MELISSA)」とコラボしたPVC素材のサンダルとバレエシューズが登場した。ビーチサンダルなどを取り扱う「ティキーズ(TKEES)」は、「Jクルー(J.CREW)」とコラボレーションしたカラフルなTストラップサンダルを発表した。
また、「クロエ(CHLOE)」や「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」が25年春夏コレクションで発表したように、ラグジュアリーブランドもジェリーシューズを発表。「スティーブマデン(STEVE MADDEN)」や「オールドネイビー(OLD NAVY)」のようなブランドは、より安価で類似のスタイルを展開している。
マリッサ・ガランテ・フランク(Marissa Galante Frank)=ブルーミングデールアクセサリー・ファッション・ビューティ・ディレクターは去年、25年春夏コレクションの最もホットなアクセサリーとして「クロエ」のシューズを挙げていた。フランクによると、「『クロエ』のジェリーシューズは、25年春夏ランウェイの若々しいスピリットを完璧に捉えた。シェミナ・カマリ(Chemena Kamali)のフェミニンでボヘミアン・ルックに合わせたスタイリングがとても新鮮で、同シーズンの2大テーマと完璧に合致していた」という。
TikTokでは、ジェリーシューズのノスタルジックな要素について活発な議論が交わされている。ビニル製のシューズを履いたことでまめができたり、蒸れたりしたネガティブな側面を思い出す人もいるようだ。
また、PVC素材の有毒性についての懸念も持ち出され、よりサステナブルな選択を模索するブランドも見られる。アパレルやハウスウエアを展開するブルックリン発の「ソルターハウス(SALTERHOUSE)」は、植物繊維から作るヘンププラスチックを使用したジェリーサンダルを制作するなどしている。