1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は上海にアジア太平洋地域のヘッドクオーター開設したオーセンティック・ブランズ・グループについて。盛大なパーティを取材した。
オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group以下、オーセンティック)は上海で6月5日、アジア太平洋地域のヘッドクオーター開設の記念セレモニーを開催した。会場は上海の中心地にそびえるオフィスビル「太古匯」、街全体を一望できる絶好のロケーションだ。イベントは中国らしい獅子舞と太鼓の演出で幕を開けたが、ひと際注目を浴びたのは、オーセンティックの大株主であり、戦略的なパートナーとなった世界的アイコンでもあるデイビッド・ベッカムの姿だった。
今回開設されたアジア本部は約2000㎡の規模で、5つの没入型ショールーム、専用スタイルスタジオ、エグゼクティブラウンジなどを備える。ライフスタイル、エンタメ、ブランド運営、ビジネス開発、PR、マーケティングなど各分野のプロフェッショナルが常駐し、APAC全体のブランド展開を統括する。マット・マドックス(Matt Maddox)社長は「このオフィスは単に私たちのチームのための場ではなく、パートナーを迎えることができ、オーセンティックブランドが細部に至るまで“具現化”されている空間だ」と語った。
オーセンティックは創業以来、「Think global, act local(グローバルに考え、ローカルに動く)」という戦略を軸に、地域ごとのハブを整備してきた。今回のアジア本部の設立は、2024年のEMEA本部に続く展開であり、アジア市場における成長の起爆剤としての意味を持つ。ジェイミー・ソルターCEOは「上海はダイナミックで革新的な都市であり、アジア本部の本拠地として最適だ」と語り、中国市場の可能性に強い自信を示した。
中国市場では、まずチャンピオン、ノーティカ、ハンターといった認知度の高いブランドに注力、その中でもチャンピオンは中国最大規模のシューズ企業である百麗時尚(ベル・インターナショナル)と戦略的パートナー契約を締結し、中華圏での販売のための合弁会社を設立した。その他、宝尊電商(Baozun)など中国国内の有力企業が、商品開発から店舗運営までを展開する計画が進んでいる。
オーセンティックのアジア太平洋市場におけるリテール売上は20億ドル(約2880億円)で、米国市場で200億ドル(約2兆8800億円)に達している。これはアジア太平洋地域に非常に大きな成長機会があることを示している。
オーセンティックは50を超えるブランドの知的財産を保有・展開する世界的なブランドプラットフォームであり、スポーツ、ライフスタイル、エンタメ領域で知的財産を戦略的に保有・拡張し、最適なパートナーと連携して成長を遂げている。現在、150カ国に2万9000の直営・ショップインショップ店舗、40万の卸先など、グローバルなスケールとローカルの実行力を兼ね備えている。