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故カール・ラガーフェルド氏の追悼イベントがパリで開催 超豪華な顔ぶれが集結

 2月19日に85歳で死去したカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏の追悼イベントが6月20日に開催された。“カール フォーエバー(KARL FOR EVER)”と題されたイベントは完全招待制で、「シャネル(CHANEL)」「フェンディ(FENDI)」「カール ラガーフェルド(KARL LAGERFELD)」の3ブランドが共催。カールが長年クリエイティブ・ディレクターを務めた「シャネル」が2005年からコレクション披露の場として使用しているグラン・パレが会場となり、演出はオペラや舞台の演出家ロバート・カーセン(Robert Carsen)が手掛けた。

 “モード界の皇帝”と呼ばれたカールにふさわしく、デザイナーはもちろん、モデルや女優、アーティスト、そして実業界や政界の大物、社交界のセレブなど大勢の人々が集まり、カールの功績を称えた。

 会場では、アラン・ヴェルタイマー(Alain Wertheimer)=シャネル最高経営責任者(CEO)とベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)会長兼CEOが談笑する姿が見られた。また、「グッチ」を擁するケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼CEOとシドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼CEOが一緒に写真に納まり、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデントとアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージが談笑するなどラグジュアリー界を代表する人物らが一堂に会していた。

 アンリ・ピノー=ケリング会長兼CEOは、「妻のサルマ・ハエックがカールと親しかった関係で、私もカールとは個人的なつきあいがあった。私のパリのアパルトマンのすぐ近くにカールのスタジオがあり、よく行き会ったものだ。彼は自由で、それでいて相手を尊重する人だった。個人的に親しくなると、彼がとても優しいことがわかる」と思い出を語った。

 アントワン・アルノーLVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージは、「カールのことはよく知っており、心から敬愛していた。過去15年にわたって頻繁に会っていたし、彼とは家族ぐるみのつきあいだった。いつも一緒に何かをやろうと計画しては、楽しい時間を過ごした。カールが去ってしまってとても寂しいが、彼はまだここにいると感じる」と語った。

 モード界からは、「フェンディ」の創業家に生まれ、その3代目としてクリエイティブ・ディレクターを務めるシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)やステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)、アルベール・エルバス(Alber Elbaz)、高田賢三、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)、トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)、ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)らが出席した。またアナ・ウィンター(Anna Wintour)=コンデナスト(CONDENAST)アーティスティック・ディレクター兼米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長の姿もあった。

 ヴァレンティノは、「カールとは1950年代以来のつきあいだ。頻繁には会えなかったが、本物の友情があった。彼は信じられないほど素晴らしいアイデアの持ち主で、デザイナーとして敬愛していた。彼の友人でいられてうれしく思う。彼がいなくなって本当に寂しい」と語った。

 エルバスは、「ファッション業界にいる誰もが、とても感傷的な気分だと思う。カールは知性とバイタリティーの両方を備えた、エネルギッシュで退屈を知らない人だった。みんなが今日ここに集っているのはそれが理由だ」と述べた。

 「クロエ(Chloe)」をカールから引き継いだステラは、「カールの知性とウィット、ドライなユーモアやその毒舌が大好きだった。私が『クロエ』のクリエイティブ・ディレクターに就任したときカールは、『私の後任としてビッグネームを任命するとは思っていたが、ファッション業界からだと思っていた。音楽業界からではなくて』と最高にクールなコメントを発表してくれた。カール、あなたには脱帽するわ!」と話した。

 会場のグラン・パレには、米写真家アニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)によるものなど、カールの巨大なポートレートが何枚も飾られた。アンダーソンは、「カールはファッション業界に欠くことのできない人物で、ユーモアと時代精神をもたらしてくれた」と述べ、ポートレートについては「カールは最後までグラン・パレの主だった」とコメントした。

 ミケーレは、「カールは人生を心から愛した、素晴らしい人だった」と称えた。シルヴィアは、「知らない写真もあるが、ほとんどのものを覚えている。どれも本当に美しい。カールは私たちと共に永遠にある」と語った。

 政財界や社交界からは、ブリジット・マクロン(Brigitte Macron)仏大統領夫人や、ハノーファー王子妃カロリーヌ公女殿下(Princess Caroline of Hanover)とその長女でモデルのシャルロット・マリー・ポメリーヌ・カシラギ(Charlotte Marie Pomeline Casiraghi)らも出席。またキャロル・ブーケ(Carole Bouquet)、イネス・ド・ラ・フラサンジュ(Ines de la Fressange)、クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、カロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)、カリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)など、「シャネル」のミューズとして知られるモデルやファッションアイコンらの姿もあった。

 モデルで、二コラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元仏大統領夫人のカーラ・ブルーニ・サルコジ(Carla Bruni-Sarkozy)は、「メランコリックな表情をしているカールが好き。ハンサムだし、この若い頃のメランコリックで優しい表情の写真がとてもいいと思う」とコメントした。

 カリーヌは、「カールは笑うことが好きで、私のこともいつも笑わせてくれた。『マダム・ロワトフェルド』なんて私のことを呼んだりしてね。私にとって彼は亡くなっていないし、まだここにいる。今日は、カールが気に入ってくれるだろうと思ってこのローズ色のドレスを選んだ」と話した。また、カールは葬儀や追悼式を嫌っていたとしつつも、「この素晴らしい追悼式を見たら、彼もハッピーになると思う。彼がいなくて本当に寂しい」と語った。

 イネスは、「カールは壁に飾られているポートレートについて、『何だ、この教会みたいな雰囲気は』と言って嫌がるんじゃないかしら。自分の痩せていない時代の写真を見て嫌がったり、この追悼式そのものを皮肉るようなジョークを言ったりして、楽しそうに笑っているのが目に浮かぶわ。でも、『シャネル』『フェンディ』『カール ラガーフェルド』が何かせずにはいられなかった気持ちは分かるし、カールも分かってくれると思う。何より、ここに集まった人々にとっては、みんなでカールの思い出を語り合えることが大事だと思う」と述べた。

 イベントでは、カールと親交の深かったアーティストらによるパフォーマンスも披露された。ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、中国出身のピアニストのラン・ラン(Lang Lang)、バイオリニストのチャーリー・シエム(Charlie Siem)、女優ヘレン・ミレン(Dame Helen Mirren)、ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)などが、演奏や詩の朗読などを通じてカールへの思いを表現した。

 会場に設置された3つの巨大スクリーンには、カール自身のインタビューや、カールが手掛けた数々のショーの中でも印象深いものの映像、そしてゆかりのある人物によるメッセージなどが流された。その中には、アナ・ウィンターのほか、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)、サイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)らが登場。ほかには、ベルナール・アルノーLVMH会長兼CEO、パブロフスキー=シャネル ファッション部門プレジデント、トレダノLVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼CEO、セルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)フェンディ会長兼CEO、ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO、ピエール・パオロ・リーギ(Pier Paolo Righi)=カール ラガーフェルドCEOらによる追悼メッセージも流された。

 また長年カールの執事を務めたフレデリック・グービー(Frederic Gouby)や広報担当者のカロリーヌ・ルバー(Caroline Lebar)、そしてカールの右腕として30年間を共にし、その後継者に任命されたヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)「シャネル」ファッション・コレクション部門アーティスティック・ディレクターなど、いわばカールの“身内”によるメッセージも流され、集まった人々の胸を打った。

 ヴィアール「シャネル」ファッション・コレクション部門アーティスティック・ディレクターは、「カールとは、私の人生で最も長い時間を共に過ごしている。私にとって彼は何でも話せる相手だったし、私の意見を尊重してくれた。何より、カールは私のエネルギーやアイデアを愛してくれた。私たちは、最高に美しいコレクションを共に作ってきた。カールにとって全てが完璧であるように、私は今後も作り続けていく」と語った。

 シルヴィアの言葉は、追悼式に出席した多くのゲストの心境を表しているだろう。「私は今でも、『カールはどう思うだろう?カールが私の立場だったらどうするだろう?』と自問する。彼がいないなんて、未だに信じられない。カールはいつも遅刻していたから、今にも現れるのではないかと思ってしまう。今回はいつもより少し遅れているけれど、やって来るに違いない、と思ってしまうのだ」。