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「ストリート市場は日本人消費が最も高単価」 「ハイプビースト」とPwCコンサルが共同でストリート市場の調査レポ

 ストリートファッションメディア「ハイプビースト(HYPEBEAST)」と、PwCコンサルティング(PwC CONSULTING)の戦略部門のストラテジー&(STRATEGY&)は共同で、ストリートウエア市場とその消費者を対象に調査を行い、5月23日にその結果をまとめたリポート「Streetwear Impact Report(ストリートウエアがファッションシーンに及ぼす影響)」を発表した。

 同調査は英語、フランス語、韓国語、日本語などの言語で実施し、計4万960人が回答した。レポートは調査結果のほかに、業界のリーダーとして藤原ヒロシやアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)=リモワ(ROMOWA)最高経営責任者(CEO)、現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)、オンライン商品取引市場ストックX(StockX)のジョシュ・ルーバー(Josh Luber)共同創業者兼CEOらとのインタビューを掲載している。

 回答が最も多かった世代はジェネレーションZで、16〜20歳が全体の33.9%、21〜25歳が全体の28.9%だった。回答者の国籍は韓国が最も多く、次に中国、アメリカ、日本が続き、「ハイプビースト」の読者層と読者が多い地域を反映した結果となっている。

 レポートは全4章で構成されており、エンリケ・メネンデス(Enrique Menendez)とアクセル・ニシュケ(Axel Nitschke)博士が執筆。ストリートファッションを取り巻くカルチャーの定義から、ストリートウエア市場の消費者行動、ストリートウエアブランドが多く採用しているDtoCモデルの消費者とのコミュニケーションや構造などについて細かく調査している。

 第2章の“Measuring Streetwear(ストリートウエアを計測する)”では、ストリートウエア市場の消費者の属性や消費傾向、地域ごとの分析を掲載している。1カ月あたりのストリートウエアにかける平均金額で韓国と中国がトップだった一方、日本はストリートウエアの商品1点あたりにかける平均金額が最も高かった。全体ではストリートウエアの商品1点あたりにかける平均金額は100〜300ドル(1万〜3万2000円)が最も多い価格帯だった。回答者が1カ月あたりのストリートウエアにかける金額はストリートウエア以外のファッションアイテムにかける金額よりも平均で5倍で、ストリートウエアの中で1番欲しいアイテムはスニーカー62%とトップで、続いてTシャツ、フーディー、アクセサリーが挙がった。

 同調査はジェネレーションZがインクルーシビティー(多様性の受容)への関心が高いことを受けて、回答時に男性と女性のほか、どちらでもないノンバイナリー(nonbinary)という選択肢も用意した。ノンバイナリーを選択した回答者は男性または女性を選んだ回答者よりも平均消費額が著しく高かった。ニューヨークではジェンダーニュートラルを掲げたセレクトショップ、フルイド・プロジェクト(THE PHLUID PROJECT)や「ワン ディーエヌエー(ONEDNA)」といったブランドが頭角を現し、カニエ・ウェスト(Kanye West)の「イージー(YEEZY)」の存在や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」が1月にローンチしたユニセックスライン“For All”もこの流れを汲んでいるといえるだろう。

 レポート内ではストリートカルチャーのアイコンとして藤原ヒロシがインタビューに参加しているが、回答者が最も「ストリートウエア市場で信頼できる存在」として選んだのはミュージシャンで65%、次いで業界人が52%、現代アーティストが45%、SNSインフルエンサーは32%だった。

 シーズンにとらわれず好きな時に商品を発売する“ドロップ”は、ストリートウエア市場ならではの発売方法だ。“ドロップ”の代表格といえば「シュプリーム(SUPREME)」だが、もともとは「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」「ネイバーフッド(NEIGHBORHOOD)」「グッドイナフ(GOODENOUGH)」といった日本ブランドが1990年代から採用していた発売方法でもある。“ドロップ”は高い需要と熱狂を生み出すのに貢献しているだけでなく、ストリートウエア市場の消費者が実店舗で買い物を続ける理由にもなっているようだ。回答者の53%が、ブランドの実店舗がストリートウエアの1番の購入先であると回答している。また、“ドロップ”アイテムを手に入れるにはほぼ避けられない“並び”については、回答者の半数以上が商品購入のために並ぶ意欲があると答えた。

 とはいえ、“ドロップ”を逃してしまっても「ストックX(StockX)」や「グレイルド(Grailed)」といったリセール市場がある。自身が持っているアイテムのうち、リセールで買ったものは4分の1以下と答えたのは全体の70%。言い換えるなら、自身の持っているアイテムのうち4分の1以上をリセール市場で購入したものという回答者が30%いたということだ。

 リポートは「ストリートウエア市場が盛り上がっている1番の原動力はその精神」と結論づけている。70%の回答者が、ストリートウエアが好きな理由は「クールだから」と回答した。「ソール コレクター(Sole Collector)」や「ベイプトーク(BapeTalk)」といったオンラインフォーラムやSNSがストリートウエアコミュニティーの絆を強め、ストリートウエアが「クールだ」という定義づけに多く貢献してきた。「どこでストリートウエアのスタイリングまたはアイテムのインスピレーションを得るか」という質問には、88%の回答者がSNSを選択し、また96%の回答者がストリートウエアの情報を集めるのにインスタグラムを使うと回答している。しかし、SNS上でのプレゼンスがストリートウエアと関係が深いと考える回答者は31%で、それよりも社会問題(70%)やブランドの行動(59%)が重要だと考えているという結果となった。