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入場料1500円の書店「文喫」から考える「書店はどう生きるか」

 出版取次の大手、日本出版販売(以下、日販)のブックディレクションブランド「ユアーズブックストア(YOURS BOOK STORE)」は12月11日、青山ブックセンター六本木店の跡地に、新たな書店「文喫」をオープンした。“本と出会うための本屋”がコンセプトの同店は、1500円の入場料を支払えば9時~23時の営業時間中は何時間でも滞在でき、コーヒーや煎茶などのドリンクも飲み放題。別途料金でフードも用意している他、“研究室”と称した会議室や喫茶室、閲覧室なども完備した長時間滞在型の書店だ。

 滞在型の書店は「文喫」の他にも、不動産会社のアールストアが運営する“泊まれる本屋”「ブックアンドベッドトウキョウ(BOOK AND BED TOKYO)」や、「ユアーズブックストア」が手掛けるブックホテル「箱根本箱」などが相次いでオープンしている。アマゾン(AMAZON)などのECの浸透で書店で本を探すことが非日常となり、書籍や雑誌などの出版物の販売額が右肩下がりの中、一部の書店は展示や地元のイベントなどと絡めた体験型の販売を行ってきた。しかし最近は体験だけでなく“時間”も重視されているようだ。「文喫」オープン前日の内覧会で行われたトークセッションに登壇した森岡書店の森岡督行・代表は「ここ10年ほど、消費から体験へと言われてきた。周囲では体験の次に来るキーワードは文脈ではないかと言われている」と語る。

 入場料や宿泊料といった形で代金を取ることで、非日常感を強調するのもポイントだ。日販の「文喫」担当者は「本を選ぶ時間こそ贅沢で豊かな時間であるべきという思いから、入場料を設定した」と説明する。本を探す時間に価値を付けることで、本そのものにも値段以上の付加価値が付く。それが結果、購入につながるのを想定しているようだ。入店者が一定数いれば、書店の魅力的なビジネスモデルと言える。今後は集客を促すための施策が重要になってくるだろう。