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「アパレルみたいにジャケ買いされるホテルを」 話題の“ソーシャルホテル”が目指す理想像

 ホテル運営を行うL&Gグローバルビジネスが9月1日、大阪・弁天町に「ホテルシー大阪(HOTEL SHE, OSAKA)」をオープンする。同ホテルでは、ゲストとホストやゲスト同士のコミュニケーションを重要視する“ソーシャルホテル”という新たなコンセプトを掲げる。弁天町という街は大都市でも歓楽街でもなく、大阪府民ですら用事がなければなかなか立ち寄らない場所かもしれない。プレオープンを前に最終工事真っ只中のホテルとその付近を訪ねたが、少し廃れた商店街やパチンコ屋などが軒を連ねる高速道路の高架下になぜ新感覚のホテルを建てたのか。東京大学の現役学生でホテルプロデュースを行う龍崎翔子チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)に話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):「ホテルシー大阪」の場所に弁天町を選んだのはなぜですか?

龍崎翔子(以下、龍崎):まず、弁天町はアクセスがとてもいいんです。大阪駅からも近いし、空港からの利便性もいい。近くにユニバーサルスタジオジャパンや海遊館といった観光地もあります。でも、弁天町にいい土地があると聞いて、大阪の知人に聞いてみたら、行ったことがないと言われました。見に来たら高架下だし、隣はパチンコ屋だし(笑)。でも、一歩踏み込めば、商店街にはレトロな昭和のかおりが充満していて、人もとてもあたたかい。そんな下町のような空気感が私にはとても新鮮で、魅力的に感じました。

WWD:どんなホテルにしたいと考えていますか?

龍崎:まずは“ジャケ買いされるホテルを作りたい”という思いがあります。一般的に、ホテルはなんとなくどこでも一緒というようなイメージがあって、基本的には立地や価格で比較するしかありませんよね。でも、それがすごくもったいないと。衣食住の中でもアパレルや飲食業界ではバラエティーが豊富で、ブランド独自のカルチャーや精神性があって、積極的に文化を発信しているのに、ホテルがトレンド発信する時代が来てもいいんじゃないかと思ったんです。写真を見ただけでコンセプトが伝わって行きたいと思えるホテルを増やすことで、選択肢を広げたいと考えています。「ホテルシー」では、その町の文化や空気感を感じながら、世界中からやってくる旅人同士らが気楽に交流できるホテルにしたいと思っています。

WWD:新しいホテルのイメージビジュアルが話題ですが、これもその一環ですか?

龍崎:そうです。ホテルのコンセプトって言葉では伝わりづらい。だから、ホテルの精神性や空気感を伝えるためにビジュアル的なインパクトが必要だと思うんです。今回のイメージビジュアルはホテルの工事現場で撮ったんですが、この町のアングラでありながらグラマラスな空気感を可視化することを目指しました。

WWD:ホテルの個性を出すためにはその町の良さも生かすと?

龍崎:街の空気感を織り込みながら、トレンドホテルを作りたいと思っています。今回の弁天町では町との親和性も考慮して、アナログカルチャーを打ち出したいと思っています。そこで、全室にレコードプレイヤーを設置し、ロビーから自由にレコードを持ち出せるようにします。iTunesが次に聞く音楽まで決めてくれる時代だからこそ、音楽を聴く価値を凝縮したいと思いました。イメージビジュアルは全てフィルムカメラで撮影したんです。加えて、ピザもサーブするコーヒースタンド「ワークベンチコーヒーロースターズ(Workbench coffee roasters)」が出店します。ピザを食べれない国も人もいないと思っていて、しかも、ピザって丸いからシェアできる。すごくコンセプトに近い食べ物だと思います。