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スパイバーがクールジャパン機構などから50億円を調達 タイに原料プラント

 人工合成のクモの糸の開発で知られるスタートアップ企業のスパイバーは11月28日、クールジャパン機構などから新たに50億円の資金を調達したと発表した。得た資金は、2021年の稼働を目指しタイに建設する、世界初の人工合成タンパク質の量産プラントに使う。同社が開発を進めている人工合成のタンパク質を使った糸やプラスチックは、石油を使わず、従来のプラスチックに比べて生産にかかるエネルギーも非常に少ないため、“究極のサステイナブル素材”として注目されている。関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役は「将来的には世界で生産される全繊維の15〜20%を、この人工タンパク質由来に置き換えたい。市場としては25〜30兆円の市場規模になる。今後こうしたスケールを実現するために、このプラントで得た知見をベースにライセンス供与も検討していく」という。

 出資を決めたクールジャパン機構の加藤有治・専務取締役COO兼CIOは、「スパイバーは企業価値10億ドル(約1130億円)以上のユニコーン予備軍で、非常に大きなポテンシャルがある。量産化のためのリスクマネーに加え、海外に向けたアパレル製品の展開をバックアップしたい」という。

 タイに建設する量産プラント予定地は、タイのラヨーン県にある工業団地で、敷地面積は約9万8960平方メートル、生産量は数百トンを計画する。これは山形県鶴岡市の本社にあるパイロットプラントの100倍の規模になる。タイは人工タンパク質の原料になる糖などのバイオマス資源が豊富で、同社が最終用途のターゲットにしているアパレルや自動車産業が集積している。

 スパイバーはクールジャパン機構の他、人工クモの糸を使った高機能ウエア“ムーンパーカ”を共同開発しているパートナーであるゴールドウインからも30億円の出資を受けており、累計の調達金額は224億円に達している。2015年に発表し、商品化が遅れている“ムーンパーカ”について関山社長は「高機能ウエアの開発が非常にハードルが高いことはわかっていた。2015年の試作品に使っていた原料の人工タンパク質自体を新たに開発し直しており、現在完成度はかなり高い部分まで来ている」と語った。“ムーンパーカ”以外も含め、「年内には(市場に投入する)最終製品に関する情報をリリースする予定だ」。