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「ショップリスト」と幻冬舎がタッグ、雑誌とECの融合が新たなメディア像を作るのか

 ファッションEC「ショップリスト(SHOPLIST)」を運営するクルーズ(CROOZ)が3月28日、幻冬舎と共同でスマートフォンに特化した通販直結型の無料ファッションマガジン「リスタ(LiSTA)」を創刊した。「ショップリスト」で扱う商品を用い、幻冬舎がコンテンツを制作する。融合が進むメディアとECだが、元「ジンジャー(GINGER)」編集長で編集プロデュースを担う片山裕美・幻冬舎 編集本部 第二編集局 局次長と武井大知クルーズ カスタマーサービス本部 部長に今後のメディアのあり方について聞いた。

WWD:創刊に至った経緯を教えてください。

片山裕美・幻冬舎 編集本部 第二編集局 局次長(以下、片山):私はもともと楽天と組んだEC直結のウェブマガジン「ジンジャー ミラー(GINGER mirror)」を創刊して、ECでモノが売れていくという経験を3〜4年積んできました。その反響がすごくて、ECとメディアの融合に可能性を感じていました。「ショップリスト」はうまくターゲットがセグメントされていて、20代女性に対して「服をもっと買いたい」という動機作りができるのではないかと思いました。ご縁がありクルーズとつながって、話はトントン拍子で進みました。創刊が決まったのは17年12月中旬ですね。

武井大知クルーズ カスタマーサービス本部 部長(以下、武井):これまでもメディアと広告的なお付き合いはあったんですが、なかなか継続的な取り組みができていなかったので、こちらもご一緒できることがすごくうれしいです。

WWD:どこにメリットを感じましたか。

武井:お互いの強みがまったく違うので、シナジーがあるかなと思いました。われわれにはシステムなどの機能面しかなくて、ファッション・トレンドを自社で発信していくことはなかなかできなかったので。

片山:「ショップリスト」は、持っているお客さんが素晴らしい。しかも、EC専門ブランドが多く、若い世代が買いやすい値段で、きちんとした質の商品を提供できているブランドも多いんです。また、武井さんの今後のビジョンが素晴らしくて、今のメディアの枠にとらわれずに、例えばインフルエンサーを取り込んだり、ニュース配信をしたりと、いろんな構想を描いてくれるんです。私としても“買って気分が上がる洋服の提案”という紙媒体でやってきたことと同じことをやっていきたく、そうなると編集者視点のある商品作りなんかもやっていきたいと思っています。

武井:新規商品の開拓も今後「ショップリスト」としてはやっていきたいですし、例えば「ショップリスト」に出店していないブランドも「リスタ」掲載をきっかけに取り扱いを始めるなど、いろんなチャレンジの集大成にしていきたいですね。ただ、今はブランドを作り上げる段階で、まずは通販と連結しているという強みを最大限に活用する時期だと思っています。

WWD:現在「リスタ」に関わるメンバーはどのくらいでしょうか。

片山:幻冬舎からは外部ライターを含めても3人です。営業から企画までマルチにやっています(笑)。

武井:クルーズ側では担当が2人とエンジニア2人ですね。

WWD:2社が連携して、しかも使用できるアイテムは「ショップリスト」にある商品だけということですが、編集作業は大変ではないですか?

片山:「ショップリスト」にある商品でコンテンツを作るというのは、実はそれほどハードルは高くなくて。逆に範囲を絞ってもらった方が自然と方向性が見えてくるので作りやすいんです。もちろん今後はこれに限らず、オリジナルアイテムの製作なんかもやっていきたいですけどね。2社でやることについては、とても面白いんです。今回は本当に勉強になったと思います。われわれがコンテンツを作った後にUI視点のチェックなんかがクルーズから戻ってきて意見を言い合うというようなことがあったりして。しかも加えた変更の手応えがすぐに数値で見えるのもウェブやECの特徴ですよね。大変ですが、創刊号だけでも相当の発見があったので、次号以降もすごく楽しくなっていくんじゃないかなと思います。

武井:お互い専門分野のプロ意識があるので、相手の領域には入らないんですよね。なので、話し合いにしても、決め込みはすごく早かったです。

片山:ネットでは時間をかけてじっくり作ればいいかといえば、そうでもなくて。武井さんが「1号目で全部できなくてもいい」ということを言っていて、たしかにと思いました。