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“ブランド名よりストーリー性” ジュピターショップチャンネル好調の理由

 ファッション関連分野で働く女性の活躍支援を目的とする一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(Women's Empowerment in Fashion、以下WEF)は21日、東京ウィメンズプラザで公開シンポジウムを開催した。“顧客フォーカスで、共感と感動を呼ぶファッションビジネスイノベーション”をテーマに、通販番組を運営するジュピターショップチャンネル(以下、ショップチャンネル)の西塚瑞穂・執行役員兼マーチャンダイジング本部副本部長(以下、西塚執行役員)とC Channelの森川亮・社長をゲストに迎え、基調講演やパネルディスカッションが行われた。ここではジュピターショップチャンネルの講演を紹介する。

 基調講演ではこれまでの業績の推移や、成長を続ける秘訣などが語られた。1996年に日本初のショッピング専門チャンネルとして創業したショップチャンネルは、生放送が主体の通販番組。ケーブルテレビ網を中心に24時間365日放送しており、ネットでも配信している。創業以来20期連続の増収を続け、2016年には1549億円の売り上げを達成した。これを1分当たりの売り上げに換算すると29万円。ジュエリー&ファッションの売り上げは全体の37%を占める。

 西塚執行役員は「1週間に500点紹介している。1つの商品を1時間かけて紹介するのでストーリー性があることが重要。ブランドは無名でもいいので、その商品にしかない特徴や希少性がきちんと伝わること」と売るための秘訣を話す。

 最大の特徴は生放送であることだ。1日7万2000件の電話に対応するコールセンターからの情報は即生放送に反映され、顧客からの問い合わせに応じて番組の進行内容を変更する。服などの場合、テレビ画面上にはサイズ別カラー別の在庫状況と累計販売数がリアルタイムで表示され、消費者の購買意欲を掻き立てる。

 またゲスト(作り手など)とキャスト(司会者)のトークも販売を左右する要因の一つと西塚執行委員は話す。「そのメーカーのことをよく知っているプロに(ゲストとして)出演してもらうのがポイント。商品についての知識があれば喋り慣れていなくても、キャストが話を引き出すことができる」。さらに画面進行も、店頭の客の導線に沿って展開する。「まずはモデルが着用して登場し、全体の雰囲気を見せる。次にハンガーにかけた状態で生地の手触り、透け感、ディテールを細かく紹介する。その後に進行役のキャストが実際に着用している感想やサイズ感などリアルなレポートをする」。

 2013年10月4日に販売されたカシミアマフラーは、6万3000本と服飾品としては1日の販売数の最高記録を達成した。西塚執行役員はこの時の成功要因を「ゲストと一緒にスタイリングを次々に提案できたのがよかった。男性向けならこの色、2色使いならこんな雰囲気に、フォーマルな場面ではこう使う、など多様な提案をしたことで色違いでまとめて購入する方が多かった」と振り返る。

「最近“コト消費”ということがよく言われているが、ただ“コト消費”に転換すればいいのかという疑問が残る。例えば旅行に行ってみんながお土産を買うのは、モノを通じて感動や喜びを共有したい、思い出を振り返るきっかけにしたいと思うから。弊社の番組も生放送が持つ臨場感、ゲストやキャストが熱意を持ってストーリーを語ることで、モノをコトとして疑似体験できる」と話し、講演を締めくくった。

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