コレクション

「ヴァレンティノ オート クチュール」2016-17年秋冬オートクチュール・コレクション

REPORT

優美なバレエの世界から導くリアリティー

 会場の中央にはグランドピアノが置かれ、女性ピアニストの生演奏とともにショーが幕を開けた。そんな今季の出発点は、“どんなデジタル機器を使っても再現できない、実際に人が肌で感じる必要な体験”。バレエや音楽のパフォーマンスからイメージをふくらませ、しなやかで優美な世界を描いた。

 デザインの鍵となるのは、チュチュやラインストーン、リボンなどバレエの衣装をイメージさせる要素だ。レースやシフォンの繊細なドレスを彩るのは、ロシアンバレエからヒントを得た抽象柄。その一方で、襟ぐりの深いタイトなインナーやレギンスはレッスン着をほうふつとさせる。職人の手仕事や上質な素材を駆使したドレスやスカートに、オフタートルのリブニットや白いシャツ、キャミソールを合わせるコーディネートには、現代に合わせてアトリエの力をリアルな提案に落とし込むブランドの姿勢を見る。

 黒のシリーズから始まったコレクションには、次第にダスティーなパステルカラーで彩りを加えていく。中でも今季のキーカラーはヌーディーなピンク。素材は、ベルベットやジョーゼットなどしっとりとした質感のものが特徴的だ。また、メンズライクなミリタリーコートやハイネックのロングドレスなど、シンプルでタイムレスなアイテムも多い。

 バッグは、ベルト状のハンドルとチェーンストラップが付いたフラップバッグが新登場。太く短いギターストラップの付いたショルダーバッグを斜め掛けするスタイルも目を引く。足元はバレエシュースのアレンジが豊富で、そこにメンズライクなレースアップブーツがアクセントを加える。

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