毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月30日号からの抜粋です)
鴨井:今シーズンの東コレは、変化が激しい社会のなかで、ファッションはどうあるべきか、ショーで何をどう伝えるかにデザイナーが真摯に向き合ったシーズンだと感じました。メッセージを伝えるために演出にもこだわったブランドが多く、「ミキオサカベ(MIKIOSAKABE)」は体験型ホラー演出の「オバケン」と2度目のコラボでしたが、品川の古民家ですごく怖かった。でも面白かったです。
沼:そうですね。イラン情勢が緊迫化し、不安があるなかで、「リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)」の岡﨑(龍之祐)さんが「これまでエゴで作品を作ってきたけれど、改めて人が着るということに向き合った」と語っていたのが印象的でした。これまでアートとして捉えられるようなコレクションを発表してきていましたが、日常で着用できるアイテムが増えていて。考え抜いた感じが伝わってきて感動しました。
鴨井:まだアートの文脈の方が色濃い印象だけど、彼のファッションへの挑戦を確実に感じられたコレクションでしたね。プレタポルテが楽しみです。
やりたいこと、やるべきことが見えた
沼:「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」はやりたいことを詰め込んだ、大胆なフォームのコレクションを発表しながらも、大野(陽平)さんがインディペンデントにビジネスをやっていかなければならない葛藤を素直に語っていて、共感しました。今シーズンは、素材への回帰も感じましたね。
鴨井:まさに。ファッション・ウイーク参加ブランドに限らず、デニムやニットに強みを持つブランドが多くて、プロだけど、マニアックに説明してくれる有望なデザイナーたちは、今のファッション産業の財産でもあると感じています。「ANDAMファッション・アワード」の創設者、ナタリー・デュフールさんにインタビューもしましたが、アイデンティティーをしっかり持ったブランドへの評価がとても高かったことは印象的でした。日本ブランドについても多く言及されていましたよ。
沼:それから、ファッション・ウイークの公式スケジュールに参加せず、前倒しで発表するブランドも顕著でした。自分たちの発表を終えたデザイナーたちが友人デザイナーのショーを見にくる姿になんだかほっこり。アワード受賞や海外経験が豊富なデザイナーが多いなか、ライバルだけど刺激し合える関係性もイマドキな感じがしました。今後発表スケジュールが二分化していくのかどうか、注目していきたいです。