「ブルガリ(BVLGARI)」による日本における過去最大の展覧会「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」が9月17日、東京・国立新美術館で開幕した。同ブランドが日本で展覧会を行うのが10年振り。“色彩”をテーマにした展示は、「ブルガリ」のヘリテージ・コレクションと個人蔵から選び抜かれた約350点のジュエリーと、現代アーティストの森万里子、中山晃子、ララ・ファヴァレット(Lara Favaretto)の作品の共演が見どころだ。空間デザインは設計事務所のSANAAが担当、ジュエリーの展示はデザインスタジオのフォルマファンタズマが手掛けた。展覧会というよりは、色という普遍的なテーマを通して、イタリアと日本、ジュエリー、アート、空間を文化的な視点でつないで紹介している。
記者会見で、ジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリ最高経営責任者(CEO)は、「色彩を軸に、ジュエリー、アート、文化を讃えるインタラクティブな展示になっている」とコメント。同展は、“色彩の科学”“色彩の象徴性”“光のパワー”という3つの章で構成。「ブルガリ」特有の色とりどりのジェムストーンをちりばめたジュエリーの数々をはじめ、エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)やモニカ・ヴィッティ(Monica Vitti)などの女優たちに愛されたジュエリー、ブランドのアイコンである”セルペンティ”のウオッチやジュエリーなどが展示されている。
色彩という共通言語を通して響き合うジュエリー、アート、デザイン
ファヴァレットの作品「レベル5」は回転する色とりどりの洗車ブラシで構成したインスタレーション。くるくる回るブラシが展示に動きとリズムをプラスするダイナミックな作品だ。森は、この展覧会のために彫刻「Onogoro Stone Ⅲ」を制作。会場に佇む透明でありながら見る角度によって色が変わる作品は、神秘的でとても美しい。古事記が着想源だというこの作品について森は、「創世神話の7色に輝き生命を宿す岩を、現代的素材を用いて表現した。宝石の輝きは人間の魂を映し出す鏡だ」と語った。水、音、鉱物顔料が混ざり合いながら流動的な形を形成し空間に映し出される中山のインスタレーション「Echo」は、アートや自然、物理学が交差する“生きた絵画”のようで、絶えず変化する色彩の儚い美しさを表現している。
会場デザインのモチーフは、「ブルガリ」を象徴するイチョウの葉っぱだ。広い展示会場は、色彩を反射するアルミや透過するアクリルを使用したイチョウの葉がモチーフの空間で区切られているが、オープンで軽やかな印象。まるで散歩道を歩くように優雅に展示を見て回れる。デザインを手掛けたSANAAの妹島和代は、「イチョウは、カラカラ浴場に見られるモチーフ。また、東京のシンボルツリーでもある。自然のモチーフで有機的、自由な雰囲気もあるので、モチーフに採用した」と話した。
“色彩”という共通言語を通してジュエリーとアート、会場デザインが響き合い、展覧会に新たな視点をプラスしている。
▪️「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」
会期:9月17日~12月15日
時間:10:00-19:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:火曜日(9月23日は開館、翌24日は休館)
会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
入場料:2300円、1000円(大学生)、500円(高校生)※中学生以下無料