ファッション

万博出展は25回目 パリ発老舗ジュエラー「ショーメ 」CEOに聞く”時代に左右されないエレガンス”の継承

PROFILE: チャールズ・レオン / ショーメ最高経営責任者

チャールズ・レオン / ショーメ最高経営責任者
PROFILE: 香港生まれ。香港中文大学とパリのESSECビジネススクール卒業。カルティエでキャリアをスタートし、マーケティングや小売分野に従事。2006年にショーメに入社。6年間にわたり中国市場中心にアジア太平洋地域を担当。その功績が認められ12年、ディストリビューション&セールス担当バイス・プレジデントに昇格。18年、フレッドのCEOに就任。24年1月から現職

パリ発ジュエラー「ショーメ(CHAUMET)]は9月1日〜10月13日、大阪・関西万博2025フランス館でエキシビション「ショーメ、自然美への賛歌-CHAUMET, AN ODE TO LIVING NATURE」を開催する。同ブランドは1780年に創業。ナポレオン1世やジョゼフィーヌ皇后のジュエラーとして世界の王侯貴族をはじめ多くの人々に愛されている。没入感溢れるデジタルサイネージやインスターレーションを施した空間で、アイコンであるティアラをはじめ、“ビー ドゥショーメ”コレクションを 展示している。オープニングのために来日した、チャールズ・レオン(Charles Leon)ショーメ最高経営責任者(CEO)に今回の万博をはじめ、ビジネスについて聞いた。

自然をジュエリーで表現する旅路をドラマチックに表現

レオンCEOは、「『ショーメ』は昨年、フランスを代表するジュエラーとしてパリ五輪のメダルをデザインした。万博の展示について声が掛かったのは自然な流れだ」と話す。老舗ジュエラーである「ショーメ」は万博の常連で、今回25回目の参加。1851年ロンドンで初の国際万博参加はもちろん、それ以前の産業博覧会などでも展示を行ってきた。「万博でさまざまな賞を受賞してきた歴史がある。フランスを代表して『ショーメ』ができることをお披露目するいい機会だ」と同CEO。

同ブランドは、自然を着想源に、確かな品質とパリジャン・エレガンスを体現するジュエラーとして歩んできた。パンジーやツルなどのデジタルサイネージが施された展示会場では、アーカイブからティアラ3点を展示。西洋的なイメージが強いティアラだが、鳥の羽をモチーフにした東洋的なイメージの作品もある。ミツバチやハチの巣がモチーフの“ビー ドゥ ショーメ”コレクションのコーナーは、和紙で制作された幾つものビーハイブ(蜂の巣)のランタンで埋め尽くされ、自撮りする来場者の姿で賑わっていた。「『ショーメ』が自然をインスピレーション源に卓越したジュエリーを届ける旅路を体感してほしい」。

新定番として定着しつつある“ビー ドゥ ショーメ”

「ショーメ」といえば、“ジョゼフィーヌ”や“リアン”シリーズをはじめ、ブライダルのイメージが強かった。だが、ここ数年、万博の展示のテーマの一つにもなっているハチやハニカムをモチーフにした“ビー ドゥ ショーメ”が絶好調だ。シンプルで重ね付けできるデザインが男女問わず受けている。“ビー=ハチ”はナポレオンが好み、紋章にも使用されたモチーフ。ブランドにとってはアイコンであり、長年継続しているデザインだ。レオンCEOは、「われわれの重要なテーマである自然はハチなしで成り立たない。また、群れで生活するハチは、共存やコミュニティーを意味する」と話す。以前は、結婚や愛の象徴といった要素が強かったジュエリーが、コロナ禍を経て自己表現のためのアイテムへ変化しつつある。自分で楽しむのはもちろん、パートナーだけでなく、友人や家族へ贈るものであってもいいというのが彼の意見だ。

「“ビー ドゥ ショーメ”は、カジュアルに楽しめる遊び心のあるジュエリー。だから、重ね付けしたり、デニムなどと組み合わせたり、新たな『ショーメ』のイメージを発信するにはぴったりだ」。幅広いラインアップがそろう同シリーズでは、リングやネックレスなど、エントリー価格が好調だという。リピーターも多く、ブランドの新定番として定着しつつある。

東京はアジアにおけるファッションメッカ

金の高騰により、度重なる価格改定をせざるをえない状況が続いている。「多くの消費者は、金は投資する価値があるものだと理解してくれている。他のモノよりジュエリーを購入する層もいるのでポジティブに捉えている」。好調な市場は、日本や韓国、中東市場など。現在、米市場での展開はないがレオンCEOは、「ビジネスはその国の経済に左右される。時期は未定だが、米市場参入へのロードマップはできている」と話す。

「カルティエ(CARTIER)」や「ティファニー(TIFFANY & CO.)」が銀座にアジア最大の旗艦店を出店している。それについて彼は、「東京は、ラグジュアリーにおいて非常に成熟した市場で、アジアのファッションメッカだ。多くの人がパリへ観光やショッピングに行くように、アジアの富裕層は東京へラグジュアリー体験を求めてやってくる」と言う。 「ショーメ」は来年、大阪・心斎橋に旗艦店出店を予定している。ビル建て替えのために移転した銀座本店は28~29年に、新旗艦店として以前の場所にオープンする。

時代に左右されないエレガンスの継承が鍵

同CEOが就任したのは昨年1月。オリンピックメダルのデザインによりブランドの認知度が急速にアップした。CEOに就任後、注力してきたことについて聞くと、「時代に合わせて、創業以来やり続けていることを進化させているだけ。自然へ敬意を払いクリエイションに活かす。それにより、クラフツマンシップを継承することができる」と言う。「ショーメ」が提供するのは一過性のトレンドではない。クリエイション全てに背景があり、時代や年代を問わず愛されるジュエリーを提供し続けている。「長年の歴史で培われてきたメゾンの洗練された時代に左右されないエレガンスをジュエリーを通して継続していくことが重要だ」。

今回の万博のアーカイブ作品の展示も、その表現の一つ。今後もより一層、長いブランドの歴史に忠実に、メゾンのスタイルや職人技、品質を守り続けていくという。

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