松屋が展開するジュエリー「エネイ(ENEY)」から、高額ラインの「エネイ・ファイン(ENEY FINE)」が登場する。同ブランドは2021年にスタート。 ファッション好きにアピールするデザインが特徴で、ラボグロウンダイヤモンド(以下、ラボグロウン)を使用したジュエリーなどを展開。ターゲットはファッション好きな20~60代と幅広く、そのデザイン性の高さからスタイリストからの指示も高い。平均価格帯は5万円前後と手に取りやすい価格も魅力だ。銀座内の常設店とECで販売する他、日本全国の百貨店や商業施設でポップアップを開催し、ファンを増やしている。
ラボグロウンを使用した新たなジュエリーの選択肢を提供
同ブランドの年商は前年比22%増。日常のファッションの1部として楽しむジュエリーブランドとして毎年2ケタ増と好調に売上高を伸ばしている。そこで、さらなるビジネス拡大を目的とする新ラインとして登場したのが「エネイ・ファイン」だ。「エネイ」を手掛ける松屋銀座の島田成一郎 事業推進部スタートアップ事業課 課長と松屋銀座の渡邊るり子 個人外商部 商品企画課 商品企画係 専門係長がタッグを組んでスタートした。ターゲットはジュエリー好きな顧客や富裕層で、松屋ならではの外商サービスの強化が目的だ。同ブランドでは、3カラット以上のラボグロウンを使用したフルオーダージュエリーを提供する。デザインは、「エネイ」のメーンデザイナーの一人である木村朱里が担当。それぞれの顧客の要望に応じて“NOMAD”というアプリを駆使してデザインし、1.5~2カ月程で納品するというスピーディーなサービスだ。通常のジュエラーにはない「こういうデザインがあったら」という要望に柔軟に応える。
ラボグロウンの調達は中国やインドから、ジュエリーは日本で制作する。市場で広がりつつあるラボグロウンは、天然と全く同じ組成、硬度、輝きを持ち、天然に比べて価格優位性やエシカルな観点から、選択肢の一つとして定着しつつある。ここ最近では、1カラット以上のラボグロウンの相場が急落し、大粒のものほど以前よりも手に取りやすい価格帯になっている。島田課長は、「『エネイ』と別ブランドとして展開することで顧客の差別化ができる。外商と組んで遊び心のあるファインジュエリーを提案していきたい」と話す。
3カラットのリングで100万円台を実現
使用するラボグロウンのグレードは、基本3カラット以上、カラーはG以上、クラリティーはVS以上、カットはトリプルエクセレントだが、顧客の要望に応じて柔軟に対応していくという。使用する地金は18Kイエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールド、プラチナなどから選べる。例えば、3カラット、Eカラー、VVS、トリプルエクセレントのラボグロウン1粒を使用したフルオーダーリングは120万円〜と、天然では考えられない価格だ。
さまざまなファンシーカラーも調達可能
また、ラボグロウンのファンシーカラーダイヤモンドを使用したジュエリーの制作も可能だ。天然のカラーダイヤモンドは希少性が高く非常に高価。モノによっては数千万円以上するものもあり、富裕層であってもなかなか手が出ない。しかし、ラボグロウンであればカラーダイヤモンドのカラーやカラット数の選択肢も広く、価格も手に届きやすい。例えば、7カラット、VSのピンクは600万円程度〜、イエローは500万円程度〜という価格でリングが制作できる。「エネイ・ファイン」は9月、松屋で開催される顧客イベントでデビュー予定だ。