
花王は、化粧品とヘアケア事業において、RNA事業を2026年から本格的に開始する。RNA遺伝子の状態をもとにRNA肌タイプを判定する技術「肌遺伝子モード」を新たな指標として活用し、個々の特性に応じた最適な製品選択を可能にするシリーズを投入する。研究段階にとどまってきたRNA技術を、製品やサービスとして社会実装するフェーズへ移行する。
同社はこれまで、RNA遺伝子で肌タイプを分類する技術と、顔写真からRNA肌タイプを判定する技術「肌遺伝子モード」を開発。これにより肌状態と製品の最適なマッチングを可能にし、消費者が自分に合う化粧品を選べない、いわゆる「美容迷子」の解消を狙う。
500億円規模の事業基盤に活用
化粧品事業では、「ソフィーナ(SOFINA)」の“次世代”スキンケアブランド「ソフィーナ シンク(+SOFINA SYNC+)」を立ち上げる。長年蓄積してきた角層研究にRNA研究を融合し、「肌遺伝子モード」から導き出される“肌の欲求”と共鳴するスキンケアを提案する。新ブランドは、「ソフィーナiP」「プリマヴィスタ(PRIMAVISTA)」「アルブラン(ALBLANC)」などのブランド価値を集約した“新生ソフィーナ”の第1弾と位置付ける。専門的な知識がなくても、セルフで肌変化を実感できる体験の提供を目指す。
新ブランドでは、約80万人が利用するLINEのデジタルサービス「ソフィーナ 肌id」に導入したRNA肌タイプ解析の結果に基づき選定した2種類の先行美容液(各60包、各7700円)をECで販売する。肌状態を「知る」「使って答えを得る」「変化を実感する」という3段階を1カ月周期で繰り返し、「肌の欲求に寄り添ってスキンケアの成功確率を上げていく。それが『ソフィーナシンクプラス』のサービスだ」と強調する。
RNAモニタリング技術を活用した化粧品事業は今後、個別最適化された商品提案に加え、日常生活の動線上での顧客接点の創出にもつなげる。全国のGMS(総合スーパー)化粧品カウンターでは、診断結果を基にしたサービスの展開も予定する。
池辺順子・花王 化粧品事業部門 プレミアムブランドビジネスグループ長は、「総額500億円規模の事業基盤にこの技術を組み込み、商品・サービスの開発をさらに加速させていく」と述べる。将来的にブランドや販売チャネルを横断し、RNA技術の活用を広げる。
ヘアケア市場に個別最適の“答え”を
ヘアケア事業では、「ジアンサー(THE ANSWER)」でサブスクリプションサービス「ジアンサープログラム(THE ANSWER PROGRAM)」を3月2日に開始する。「肌遺伝子モード」は顔や肌にとどまらず、頭皮や髪にも応用できることを確認。ヘアケア分野においても、個々の状態に応じた最適化を図るための新たな“ものさし”として活用できるようになった。
守矢まゆみ・花王 ヘルスビューティケア事業部門 ヘアケア事業部長は、ヘアケア市場について「スキンケアに比べ、カウンセリング文化が十分に根付いておらず、誰に相談すればよいか分からない消費者が多い」と指摘する。その上で、「『ジアンサー』は24年に誕生し、多くの人が納得できるヘアケアの選択肢を提示してきた。今回、髪と頭皮の解析を組み合わせることで、一人ひとりの状態に応じた“答え”を届ける取り組みを一段と強化できる」と説明する。
同サービスでは、新たに開発したシャンプー、トリートメント、頭皮用ケアエッセンス、毛髪用アウトバストリートメントの4カテゴリー・全8品の専用アイテムを展開する。解析にはLINEを用い、45日周期で製品を提供する。料金は、2品プランが5940円、3品プランが7920円、4品プランが9900円とし、髪と頭皮の状態に応じた組み合わせを提案する。
「ソフィーナ シンク」と「ジアンサープログラム」のアイテムはいずれも、開始当初はEC限定とするが、消費者の反応や運用状況を踏まえ、実店舗での展開も検討する。
庭野悠・花王スキンビューティ第1研究所室長/RNA共創プロジェクトリーダーは「今後もRNA研究をさらに深化させることで、生活者一人ひとりの状態や変化パターンを、これまで以上に精緻に捉えていきたい。そうしたデータに基づき、手応えを実感できるビューティケアの実現を目指す」と語った。