「がまんを強いるようなリサイクルやリユースは長続きしない」と語るのは、「無印良品」を運営する良品計画の清水智社長だ。
消費者から回収した服を再販する動きは広がっているが、消費者の支持を集めて収益性を確保するのは難しいと言われる。そんな中、回収した商品をアップサイクルして再販するプロジェクト「ReMUJI(リムジ)」は、販売数量を順調に伸ばしており、衣料品では2024年8月期に前年の2倍近くの5万5746着を売った。単に環境配慮の理想を消費者に訴えるのではなく、染め直したり、異なる柄を縫い合わせたりするなど一点物の魅力を高めたことで「リサイクルはエモーショナルな行為になった」と自信を深める。
3月に開店した世界最大店舗の「無印良品イオンモール橿原」(奈良県)に「ReMUJI」の国内最大の売り場を設けたところ、「計画以上に売れている。商品が足りない心配をするほどだ」という。一点物のリサイクル品を求めて、遠方から訪れる客も少なくない。「ReMUJI」の課題だった収益性も確保できるまでになった。
良品計画は30日、メディアやアナリスト向けに「ESG説明会」を開いた。清水社長は「ESGは無印の本業」と語り、ESGという言葉が存在しない1980年の創業時から環境問題や社会性を意識した事業活動をしてきた歴史を振り返った。衣料・雑貨分野では、環境負荷の少ない木の実「カポック」の積極的な採用や、再資源化に向けて服地やボタン、縫製糸などを単一素材で作る取り組みなどが紹介された。