ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)が3月に開業25周年を迎えた。東海地区で最後発の百貨店として2000年にオープンしたが、現在では売上高2154億円(17年開業のタカシマヤゲートタワーモール含む)で名古屋市内の百貨店売上高の5割弱を占める存在だ。近接する名鉄百貨店の閉店(26年2月末)も発表され、「一強」の度合いを強める。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月31日号から一部加筆して抜粋しました)
3月上旬の週末、JR名古屋高島屋では開店25周年イベントが各所で開催されていた。3階の化粧品売り場では、ファッションショーのバックステージを再現した空間で「ナーズ」「イヴ・サンローラン」などの専属メイクアップアーティストによるメイクが体験できるイベントが人気を集めた。屋外のイベントスペースでは7、8階で販売する「アミリ」「ケンゾー」「C.P.カンパニー」といったメンズウエアが新作のアウターを展示し、DJブースやドリンクバーも花を添えた。
「20周年(2020年)の際はコロナで何もできなかったので、今回はかなり力を入れて企画した」。同店を運営するジェイアール東海高島屋の中西英之グループマネージャーは説明する。
JR名古屋高島屋の快進撃が続いている。25年2月期の売上高は前期比11.0%増の2154億円。コロナ前の20年2月期に比べると30.0%も成長した。ライバルである松坂屋名古屋店の1316億円(25年2月期)を大きく引き離す。
東京や大阪に比べて名古屋はインバウンド(訪日客)の恩恵が少ない。観光庁によると、24年の延べ外国人宿泊者数は東京都が約5720万人、大阪府が約2534万人なのに対し、愛知県は約385万人で全国9位にとどまる。同店は免税売上高の割合を公表していないが、1割に満たないと思われる。東京や大阪の有力店が2〜4割占めるのとは対照的だ。
にもかかわらず、3割成長を遂げているのは商圏である東海3県(愛知県、岐阜県、三重県)の消費者からの支持が厚いからだ。中西氏は「開店から25年を迎え、『地元の百貨店』としてだんだん認めていただけるようになった」と手応えを持つ。
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