2025年1月からWWDJAPAN.comでマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」が連載中です。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第3話を取り上げます。
思い込みが過剰在庫を生む
第3話のテーマは「思い込みが過剰在庫を生む」という現場のリアルな問題に迫っています。
マンガ「在庫管理の魔術」の第3話は コチラ 。
前話までに、主人公の店舗では地下のバックヤード倉庫が水浸しで使えなくなったため、これまで店舗で持っていた在庫を4カ月分から20日分に絞ると決めました。そして、毎日、必要な商品を中央倉庫に発注し、翌日補充してもらうという仕組みをつくりました。しかし、実際に運用してみると在庫が20日分を超える発注ばかりになっていました。例えば、「グリーンの商品が売れたから、ほかの色の商品も売れるだろう」といった思い込みから、各担当者が多めに発注してしまっていたのです。
実際の店舗でも、こうした行動がよく見受けられますね。ある日によく売れた商品があると、次の発注時には通常の2倍も発注したり、要望したりするといった行動もありがちです。店舗の人たちはみんな、欠品することで、販売機会を逃したくないと考えています。「在庫が多いほど売り上げが増える」という思い込みに基づいて行動すると、その結果、全店が日常的に過剰在庫を抱えることになります。
思い込みを捨て、売れた分だけを補充する
そのような状況の中で、主人公の店舗に、実際、在庫が常に20日分になるように、在庫を毎日確認して、その日に売れた、必要な分だけを忠実に発注している担当者がいました。
毎日在庫を計算するのは現実的ではない。
しかし、この担当者のやりかたが参考になると考え、シンプルに、POSデータを活用して、売れた分だけを補充することを思いつき、すべての担当者にこのやりかたを徹底します。
あわせて、今まで発注要望をしても、発送単位にならないからと、倉庫から届けてもらえなかった商品も、ダメ元で注文することにしました。
しばらくすると、本部から、店舗の売り上げが期間売上で全国1位と飛躍的に伸びたことを知らされます。
在庫を減らしたのに売り上げが伸びた理由とは──。
そこには、在庫が減ることで売り場に“ある変化”が起きたという意外なカラクリがありました。次回、その全貌が明らかになります。