ビジネス
連載 齊藤孝浩の儲けの秘訣 第15回

在庫を間違った場所に置くことで販売機会損失多発! OMO、AI時代の在庫マネジメントの新常識

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は第14話を取り上げます。

どうすれば在庫を正しい場所に置けるかのか?

前回のコラムでは、各拠点の需要予測と配分の精度を高めることよりも、実需にあわせて機敏に在庫の店間移動をすることで、機会損失を減らし、プロパー消化率が高まるお話をしました。

今回は、地域の店舗間の在庫調整の話ではなく、地域間の在庫の偏在が話題に上っています。

マンガ「在庫管理の魔術」の第14話は コチラ

地域内の欠品問題を解決して販売チャンスに変えた主人公の徹は、社長面談で、「在庫を間違った場所に置くから、(地域に)在庫が余ったり、(地域倉庫間で)クロスシッピング(=在庫移動)が起きたりする」「どうすれば在庫を正しい場所に置けるかのか?」という問いを投げかけられます。

これに対して、徹は、第12話で話題になった統計の集約効果を思い出します。店舗の上流に地域倉庫があるように、その地域倉庫の上流にも中央倉庫を設け、全国共有在庫を持ち、地域店舗の需要に応じた必要な分だけの在庫を地域倉庫に持たせれば、この問題は解決するのではないかと提案します。

マンガの舞台となっているハンナズは全国チェーンであり、地域倉庫がたくさんあるなんて、相当の店舗数を抱えるチェーンであることがわかります。中央倉庫の統計の集約効果で精度が3倍になるということは、9つの地域倉庫を持っているのかも知れません。日本では全国に3つ以上の地域倉庫を持っているのはユニクロやしまむらなど限られた最大手クラスのチェーンのみ。

AIを活用した在庫マネジメントソリューションの必要性

しかし、最近の業界の話題に置き換えると、店舗向け補充用倉庫(いわゆるBtoB倉庫)とEコマース向けの物流倉庫(いわゆるBtoC倉庫)が別のところにあって、同じ商品の在庫が複数倉庫に分散しており、「在庫が間違ったところにあるから在庫が余る」「売り逃す」問題が発生しています。そんな課題をオーダーマネジメントシステム(OMS)で在庫をまとめた拠点に置きながら(在庫一元化)複数販路経由で販売することで、販売チャンスを増やす事例も増えて来ました。

マンガの舞台になっているハンナズは多店舗展開する全国チェーン。拠点が多くなるほど、最適基準在庫設定や店間移動のような在庫マネジメントはエクセルによる人海戦術ではとうてい太刀打ち出来ません。ストーリーの中では、既にIMM というソリューションを活用して対応中という話が出てきます。

2ケタ店舗以上のチェーンストアともなれば、AIエージェントを活用した在庫マネジメントソリューションも必要になる時代ですね。

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