中国の越境EC「シーイン(SHEIN)」と「ティームー(TEMU)」は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税政策の影響で、4月25日から米国市場で価格改定を行うことを明らかにした。
「シーイン」は、米国の公式オンラインストアに顧客向けのメッセージを掲載。「当社は素晴らしいファッションを手頃な価格で提供し、コミュニティーにポジティブな影響を与えることを目標としているが、昨今の貿易ルールおよび関税率の変更によって運営費用が増大している。品質面で妥協することなく商品を提供し続けるため、2025年4月25日から価格調整を行う」と述べ、「影響を最小限にとどめるべく最大限の努力をしているが、現在の価格で購入できるうちにぜひ買い物を」と呼びかけた。「ティームー」も、類似した内容のメッセージを掲載している。
米国に非課税で輸入される少額貨物の半数は中国から
ロイター(REUTERS)の調査によれば、米国は「シーイン」にとって最大の市場であり、売り上げの28%以上を占めているという。その理由の一つとして、米国では輸入申告額が800ドル(約11万円)以下の少額貨物に対して関税の支払いが免除される“デミニミス(非課税基準額)ルール”が設けられていることがある。現在、同ルールに基づいて米国に非課税で輸入されている荷物数は1日あたり400万個に上り、その半数程度が中国からのものだ。しかし、中国との“関税闘争”を繰り広げているトランプ大統領は4月2日、中国本土および香港からの輸入品に対し、5月2日付で同ルールを撤廃することを発表。4月10日には、少額貨物の関税率を120%とすることを明らかにした。