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「エルメス」が米国で5月1日に値上げ、トランプ関税に対応 25年第1四半期は予想を下回る7%増収

エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2025年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比8.5%増(現地通貨ベースでは7.2%増)の41億2900万ユーロ(約6688億円)だった。

競合であるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の25年1~3月期の売上高が同1.8%減となるなど、ラグジュアリーセクターが全体に減速する中、エルメスは1ケタ台後半の増収と引き続き業績を伸ばしている。しかし、現地通貨ベースで8%増の市場予想をやや下回る結果となった。

主力のレザーグッズは引き続き2ケタ増収

地域別の売上高は、フランスが同14.4%増の3億5700万ユーロ(約578億円)、フランス以外のヨーロッパが同12.8%増の5億100万ユーロ(約811億円)だった。いずれも、引き続き現地の顧客および観光客による需要が好調だった。米国がの好調が続く南北アメリカは同13.1%増の6億9500万ユーロ(約1125億円)だった。日本以外のアジア太平洋地域は、景気回復が遅れている中国を抱えているものの、同2.6%増の19億7100万ユーロ(約3193億円)で着地。地元顧客の需要が好調な日本は、同17.9%増の4億2100万ユーロ(約682億円)だった。

カテゴリー別の売上高は、主力のレザーグッズが同11.3%増の18億1300万ユーロ(約2937億円)、衣料・アクセサリーが同8.2%増の11億4900万ユーロ(約1861億円)、シルク・テキスタイルは同5.7%増の2億5600万ユーロ(約414億円)といずれも堅調。香水・ビューティは同0.7%減の1億2900万ユーロ(約208億円)とほぼ横ばい、中国市場の景気減速の影響を受けたウオッチは同9.0%減の1億5100万ユーロ(約244億円)だった。

トランプ関税への対応として米国で値上げ

同社は、アナリスト向けの決算説明会で、5月1日に米国市場で値上げを実施することを明らかにした。これはドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による欧州製品への関税の上乗せに対応するためであり、その他の市場には適用しないという。エリック・デュハルグエ(Eric du Halgouet)財務担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「関税率は確定しておらず、事態の進捗を慎重に見守っている」とし、値上げ幅については開示しなかった。

なお、アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者は、今年2月に24年12月期決算を発表した際、トランプ政権が関税の引き上げを行った場合は「価格に転嫁せざるを得ないだろう」と述べていた。

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