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豊島は経常益116億円、2期連続で過去最高を更新 24年6月期

豊島の2024年6月期決算(非上場)は、売上高が前期比2.1%減の2202億円、営業利益が同23.1%増の88億円、経常利益が同28.5%増の116億円、純利益が同43.6%増の80億9800万円だった。配当は1株55円。

純利益は、子会社の合併に伴う特別利益により146億円となった2008年6月期に達しなかったものの、営業利益と経常利益は過去最高を更新した。減収の要因は、戦略的に取り扱いを縮小している綿花貿易によるもので、綿花を含む素材部門は108億円の減収となった。物流費の改善や生産地の集約、高付加価値商材の提案などが奏功した。

商品別では、綿花などの繊維原料が75億円減の390億円、原糸が14億円減の201億円、織物が17億円減の134億円。対してOEM・ODMを行う製品部門は55億円増の1439億円だった。

粗利率(売上高総利益率)は14.0%で、前期に比べ1.6ポイントの改善。対して販管費率は10.0%で0.8ポイント増加した。

25年6月期は売上高2000億円、経常利益90億円を計画する。

「今年は新しいビジネスへの種まき」 豊島社長との一問一答

名古屋市内で行われた決算会見でのメディアとの主な一問一答は以下の通り。

ーー減収の要因は?

豊島半七社長(以下、豊島):綿花相場の下落と取り扱い数量の減少によるもの。綿花は相場で数字が激しく上下するため、数年前からルールを設定している。素材部門は綿花以外にも、原糸や織物の取り扱いも減少した。素材部門は主に国内の紡績メーカーや織物工場をターゲットにしているが、産地の縮小に歯止めがかからず、かなり厳しい状況だ。現場の危機意識はかなり強い。

ーー全社的には経常利益は100億円を超え、過去最高だった。

豊島:正直、出来過ぎだ。配当増といった一時的な営業外収益の増加もあったものの、円安による仕入れコストの上昇を製品価格に転嫁できたことや、この数年、生産工場の集約や高付加価値製品の提案、物流効率の改善など、地道に収益改善を進めてきた成果が出た。加えて、主要な取引先も好調で、それに引っ張られた形だ。

ーー足元を含めた景況感は?

豊島:前年(24年6月期)に続き、全体的な衣料品市況は悪くない。引き続き主力販売先との取り組みの深耕のほか、雑貨や食品、家電などの繊維製品以外の取り扱いを強化する。

ーーだが、25年6月期は売上高2000億円、経常利益90億円と減収減益の計画だ。

豊島:当社は非上場で、上場企業のように常に右肩上がりで増益を掲げる必要がないし、そのつもりもない。一方で24年6月期で達成した経常利益100億円という数字にはこだわりたい気持ちはある。ただ、高い数字を設定して現場に無理を強いるより、今は中長期的な種まきをする方が重要だ。

ーー種まきとは?

豊島:従来の延長線にはない、新規分野や新規商材の開拓だ。この数年、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)などを通じて、国内外のスタートアップとの連携を進めてきた。従来の取引先や繊維・アパレル業界にはない新しい企業、新しい分野、異なる業界の空気を、肌で感じる会社にしたいという思いがあった。当社は営業力が強い分、どこかなんとかなってしまう部分があった。そうではなく将来から逆算して、新しい商材やビジネスを生み出す取り組みがほしいと、現場には発破をかけている。

素材部門を例に取れば、新素材の開発には時間がかかる。例えばスパイバーへの出資はCVCではなく、本体から出しており、短期でリターンを求めるのではなく、長い目で見た取り組みだ。ただ、従来線上にはないからこそ新しく得られることも多く、そうしたことが会社全体を強くする。

ーーDXについては?

豊島:「費用はいくらかかってもいい」と号令をかけて取り組んできた。その考え方は変わらないが、期限と目標を決めて取り組むように伝えている。また、現場だけで話し合うのではなく、お互いの経営陣を巻き込んで会社対会社の取り組みにするよう指示している。

DXこそ、従来の延長線上にはない取り組みを視野にいれるべきだ。これまではOEM/ODMなどの「モノの取引」が中心だったが、DXにより、「サービスの提供」といった新しいビジネスをスタートしてもいい。今年は、経営幹部から現場の若いメンバーまで、新しいことに挑戦する年になる。

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