ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第98回

機能と情緒は両立するの?

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機能と情緒は両立するのか?永遠の命題と捉えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

例えば「ユニクロ」は、情緒より機能が先行しているブランドだと思います。そこに昨年、こと「クロエ」時代は世界中の女性の「カワイイ!」を生み出してきた、つまり情緒的な価値観を発信してきたクレア・ワイト・ケラーが加わって、「ユニクロ:シー(UNIQLO:C)」をスタート。発表会、そして上のリンクで紹介する取材に同行しましたが、勝田幸宏グループ上席執行役員含めて多くのファストリ関係者は「ユニクロ(UNIQLO)」ウィメンズに情緒、端的に言えばエモさが加わることに大きな期待を寄せていたのが印象的です。つまり逆を言えば、「ヒートテック」や「エアリズム」に代表される機能だけでは情緒的にならない、エモくならないのかもしれません。

機能を徹底的に追究しているブランドとして業界人からの評価が高いのは、「アークテリクス(ARC'TERYX)」のトップファッションライン「ヴェイランス」でしょう。上の記事にある通り、このラインが目指すのは、究極のプロダクト力。「機能OR情緒?」という二択を迫られたら、きっと「機能」と答えるんでしょうね。そう考えると尚更、機能と情緒は両立するのだろうか?そんな疑問が頭をよぎります。

そんなことを考える私に、「両立する」と教えてくれたブランドがあります。「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」です。ご存じ「オニツカタイガー」は近年、ミラノ・ファッション・ウイークに参戦。この世界では、プロダクト力はもちろんですが、情緒的な価値がなければ戦っていけません。長らく走る時の機能を追い続けてきたブランドが、ファッションの世界で、情緒的な価値を身につけ発信するのは簡単ではありませんが、ブランドをけん引する庄田良二グローバルカンパニー長は、「オニツカタイガー」は機能の中でも特に「軽さ」を追い続けることでエモくなろうとしています。なぜ、軽いとエモくなれるのか?そう聞くと、庄田さんは、こう教えてくれました。

「『軽い』と、何度も着たくなる。何度も着れば、自然と愛着が湧くはずだ」。

なるほど、その通りです。何度も着ると、「他に、どうやって着まわせるだろう?」などを考えることでしょう。すると「あ、こんな風にも着られる」なんて発見があるのでは?そんな発見を繰り返すと、いつの間にかプロダクト、最終的にはブランドに思い入れを抱くという理論は、確かに通用しそうです。

機能的だから何度も着たくなる、その先には何が?

こんな思考が、機能と情緒の両立には役立ちそうな気がします。

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