
この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回はアパレル産業の未来を考えるヒントになる本の発売や「サロモン」親会社の動向、業績悪化で苦しむ「サマンサタバサ」の3つの記事を掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。
【記事1】
ベストセラーから5年 福田稔が新著「2040年アパレルの未来」で解く日本企業の生き残り戦略
ベストセラー「2030アパレルの未来」の著者でコンサルタントの福田稔A.T.カーニー シニアパートナーがこのほど、新刊「2040年アパレルの未来」を東洋経済新報社から出版した。前著は「日本企業が半分になる日」という副題の衝撃もあり、7刷の話題本となった。あれから5年。今回つけた副題は「成長なき世界で創る、持続可能な循環型・再生型ビジネス」である。グローバルの最先端事情を踏まえた日本企業の生き残りの戦略について聞いた。(全文はこちら)
【記者のコメント】
ビジネスコンサルタントとは、専門的な知識を持って企業にアドバイスをし、帆走するのが仕事。ファッション業界のトップコンサルタントの一人である福田稔A.T.カーニー シニアパートナーはこのほど、ビジネス本「2040年アパレルの未来」を書き下ろした。著書の大きなテーマは「成長なき世界で創る、持続可能な循環型・再生型ビジネス」。たとえば、「世界のアパレルを激変させたあまりに大きな3つの変化」「アパレル業界を大きく揺るがすサステナビリティ問題の本質」「アパレル業界の変革に必要な6つのイノベーション」といった切り口でファッション産業の課題と可能性を非常にわかりやすくまとめている。これらの切り口を点で語れる人が多いが、その点をつなげて面にして見せ、わかりやすく解説できる人は少ない。ファッション産業を志す人にぜひ手にとってほしい一冊だ。本記事のインタビューを通じて、福田氏の人柄なども垣間見ることができる。(向千鶴/執行役員「WWDJAPAN」編集統括兼サステナビリティ・ディレクター)
【記事2】
「サロモン」や「アークテリクス」の親会社、IPOで最大2660億円の調達を目指す
4日に米国証券取引委員会(SEC)に新規上場(IPO)を申請していた、フィンランドを拠点とするスポーツ・アウトドア用品のアメアスポーツ(AMER SPORTS)は22日、1株あたり16〜18ドル(約2368〜2664円)で1億株の発行・売り出しを実施し、最大18億ドル(約2664億円)規模の調達を行うことを明らかにした。ニューヨーク証券取引所に上場し、ティッカーシンボルは“AS”。(全文はこちら)
【記者のコメント】
IPOとは「Initial Public Offering」の略で、日本語では「新規公開株式」や「新規上場株式」と言う。創業一族や親会社、一部の投資家など限られた人しか持っていなかった株式(未公開株)を、一般の投資家も売買できるようにするため、初めて証券取引所に上場(株式市場に公開)することを指す。IPOを行うメリットとして、一般の投資家から広く資金調達できるようになることや、社会的信用や知名度の向上があげられる。なお、調達した資金は新製品の開発や事業拡大に使われることが多いが、アメアスポーツの場合はローン返済にも充てられるようだ。(井口恭子/編集部記者)【記事3】
サマンサタバサ、危機で強まる現場の「結束力」
険しい再建への道
サマンサタバサジャパンリミテッドが業績悪化に苦しんでいる。12月に2024年2月期連結業績予想を下方修正し、純損益を3億2600万円の黒字から11億円の赤字に引き下げ、8期連続赤字の見通しとなった。加えて従業員への冬季賞与を不支給にすると発表すると、インターネット上では平成を代表する人気ブランドの苦境にさまざまな反応が寄せられ話題となった。同社は従業員のモチベーションを維持しつつ、ここからどのように舵を切るのか取材した。(全文はこちら)
【記者のコメント】
サマンサタバサジャパンリミテッドは、1994年に寺田和正氏が創業。主力バッグの「サマンサタバサ(SAMANTHA THAVASA)」、エントリー層向けの「サマンサベガ(SAMANTHA VEGA)」、スモールレザーグッズが中心の「サマンサタバサプチチョイス」などを展開する。2000年代に赤文字系と呼ばれたコンサバかつフェミニンなファッションを楽しむ層のアイコン的ブランドとして人気を集めた。同社は2017年から業績が悪化し、売り上げ回復に向けて抜本的な改革に取り組んでいる。(木村和花/編集部記者)