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特集 独走「ディオール」強さの理由 第5回 / 全5回

メディア目線で考察する「ディオール」独走の理由 編集部員が座談会

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普段、外資ビューティブランドを取材する機会が多い編集部員3人が座談会。小売店への調査を元に“実際に売れている”化粧品を選出する「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集でも、ここ数年は「ディオール」の勢いが目立っている。メディア目線で考察する「ディオール(DIOR)」独走の理由とは?(この記事は「WWDBEAUTY」2023年10月30日号からの抜粋です)

記憶に残る新製品発表会やイベント

澤田:「ディオール」は、新商品発表会だけでなく、スキンケア分野で進行中の研究や新知見に関するカンファレンス、パフューム クリエイション ディレクターのフランシス・クルジャンが来日したトークイベントなど、それぞれ独立した場を設けて伝えているのはほかにあまりないところ。1時間で技術系の発表や商品紹介などいろいろな話を少しずつ詰め込むより断然印象に残ります。

村上:イベントも記憶に残るんですよね。もちろん映えスポットも忘れないけれど、関連するドレスが並ぶなど、「ディオール」らしさの発信が上手。いち早くファッション部門とビューティ部門の協力を推し進めてきた成果が表参道のフラッグシップからイベントにまでつながっています。

遠藤:イベントと言えば、“メゾン クリスチャンディオール”の新フレグランス“ディオリビエラ”のポップアップが印象深いです。メゾンのアイコンであるトワルドジュイ柄の動物が出迎えてくれて、会場のスツールやクッションまでもトワルドジュイ。ファッションとの融合を体感しました。ジェラートカフェなど、Z世代がお出かけスポットとして堪能できるポイントも満載でした。

スピード感のあるジャッジがビジネスを推進

澤田:イベントに加えて商品力は大前提、中で働く人たちの熱量の高さや“攻め”と“守り”のバランス感覚が推進力になっているように思います。多くの歴史あるブランドにとって直面する課題だと思いますが、スピード感を持ってジャッジがなされているのを感じます。

村上:業界では、そのスピード感はメイクライン“バックステージ”の頃から顕著で、コロナ下に結実したと分析する人が多いですね。今も“ジャドール”の基幹商品を昨年、今年と相次いでリリースするなど、他のブランドに比べると“倍速”なカンジです。

今後の注目はスキンケアカテゴリー

澤田:日本においてはスキンケアカテゴリーの認知度にまだ伸び代がありそうな印象ですが、この分野においても「ディオール」は世界で初めてリポソーム技術をスキンケアに応用したり、幹細胞研究を20年以上にわたり続けていたり実はパイオニア。確かな実力に加えてナチュラルな処方の商品も増えていて、外資スキンケアを食わず嫌いしている層などからも着実にファンを増やしていくのではと感じます。

村上:特にスキンケアの発表会で感心するのは、ちゃんと“エモい”こと。がっつりした“お勉強タイム”の後には、有効成分を抽出するために栽培しているローズガーデンの映像や写真、ストーリーを伝えてくれるから、頭のみならず心で商品を共感できる。同じことは店頭でも起きているんじゃないかな?

遠藤:確かにエモーショナルなコミュニケーションが強みですよね。リップなどのメイクアイテムでファンになった若い層にとって、遠い存在だった「ディオール」のスキンケアも手の届きやすい商品を発売して、得意とする表現で伝えれば、ファン層が広がりさらに盤石になりそうですね。

「WWDBEAUTY」直近3年の
ベストコスメ特集を振り返り!

「WWDBEAUTY」では、全国の百貨店、ドラッグストア・バラエティーショップ、ECポータルサイトの協力を得て、“本当に売れた”コスメを集計し発表している。ここでは直近3年の百貨店カテゴリーでの「ディオール」受賞商品をまとめる。

【2023年上半期】

リップ部門 新商品1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/総合1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/ベースメイク部門 新商品2位 ディオールスキン フォーエヴァー スキン コレクト コンシーラー/新商品3位 ディオールスキン フォーエヴァー グロウ ヴェール/美容液部門 新商品1位 カプチュール トータル ル セラム/フレグランス部門 新商品1位 ミス ディオール ブルーミング ブーケ/ボディーケア部門 総合1位 ミス ディオール ハンド クリーム

【2022年下半期】

クレンジング・洗顔部門 新製品1位 ラ ムース ピュリフィアン オフ オン/リップ部門 新製品3位 ディオール アディクト リップ ティント/総合1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/ボディーケア部門 総合2位 ミス ディオール ハンド クリーム/フレグランス部門 新製品1位 ジャドール パルファン ドー/総合1位 ミス ディオール ヘアミスト/スタイリング剤部門 総合3位 ミス ディオール ヘアミスト

【2022年上半期】

化粧水部門 新製品2位 カプチュール トータル インテンシブ エッセンス ローション/ベースメイク部門 新製品2位 ディオールスキン フォーエヴァー フルイド グロウ/リップ部門 新製品2位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー セラム/総合2位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/総合3位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー セラム/メンズコスメ部門 新製品3位 ソヴァージュ シャワー ジェル

【2021年下半期】

アイメイク部門 総合3位 ディオール バックステージ アイ パレット/リップ部門 新製品1位 ディオール アディクト リップ グロウ/総合1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/ボディーケア部門 新製品1位 ミス ディオール ハンド ジェル/総合1位 ミス ディオール ハンド ジェル/フレグランス部門 新製品1位 ミス ディオール オードゥ パルファン/総合2位 ミス ディオール ブルーミング ブーケ

【2021年上半期】

乳液・クリーム部門 新製品1位 カプチュール トータル セル ENGY リッチ クリーム/ベースメイク部門 新製品3位 ディオールスキン フォーエヴァー クッション パウダー/リップ部門 新製品1位 ルージュ ディオール バーム/総合1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/総合2位 ルージュ ディオール バーム/美容機器・ツール部門 新製品3位 ル ペタル マルチ パール/フレグランス部門 新製品3位 ミス ディオール ローズ&ローズ ローラー パール/総合2位 ミス ディオール ヘアミスト

【2020年通期】

スキンケア部門 新製品4位 カプチュール トータル セル ENGY スーパー セラム/ポイントメイク部門 新製品1位 サンク クルール クチュール/総合1位 ディオール アディクト リップ マキシマイザー/フレグランス部門 新製品1位 ミス ディオール ローズ&ローズ/総合3位 ミス ディオール ヘア ミスト

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