ファッション

「コーチ」はスチュアート・ヴィヴァース就任10周年の節目のショー  NYでの軌跡に想いを馳せる

コーチ(COACH)」は、2024年春夏ニューヨーク・ファッション・ウィーク公式スケジュール前となる9月7日(現地時間)に24年春夏コレクションのショーを開催した。

クリエイティブ・ディレクターのスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)就任10周年目となる今季のコレクションはニューヨーク公共図書館を会場に、ショーの後には多くのゲストを招いてカクテルとディナーを開いた。ディナーではスチュアート本人がこの10年を振り返るスピーチで謝辞を述べる場面もあり、節目を祝うシーズンとなった。

イギリス人のスチュアートがアメリカに拠点を移したのは90年代。コレクションではニューヨークと共に歩んできたキャリアやプライベートの記憶を辿り、彼なりの解釈をオリジナリティーあるデザインに落とし込んでいる。「ヴィンテージのコピーはしたくなかった。今まで生活してきたニューヨークのムードや私の記憶からソースを切り取っている」とスチュアート・ヴィヴァース。

ファーストルックは、黒いレザーのキャミソールドレスにエンジニアブーツのシンプルなスタイル。「オリジナル・アメリカン・ハウス・オブ・レザー」ブランドとしてのレガシーを回顧するとともに、アップサイクルレザーの素材使いやテクニック、スタイリングでスチュワートのモダンさを加えている。ビッグシルエットのレザーのライダーズジャケットにハート型のサングラス、PVCのポップなフラットシューズのスタイリング、ヴィンテージ風のデッドストックを使用したレースのドレスにレザーのランジェリーを合わせるなど、スチュアートが踊り明かした伝説のナイトクラブ「ピラミッドクラブ」のムードを彷彿とさせる。リサイクルコットンを使用したオーバーサイズのボクシーなジャケットは90年代に自立し始めた女性たちのパワフルさを象徴。表面が色褪せたヴィンテージ風のバルマカーンコートなど、スチュアートの記憶からヴィンテージのピースを取り出したようだ。ルックに差し込んだポップなカラーのハイカットスニーカーやバッグなど、今すぐ手に取りたくなるアイテムも多い。

「コーチ」の象徴となるレザーバッグについては、「アーカイブは見ず、自分の解釈を元に『コーチ』のバッグとは何か?と考えた時、タイムレスなデザインでこの先80年は使っていけるものだろうという結論に至った」。スチュアートらしいウィットの効いたカラフルな犬の骨をモチーフにしたバッグやビッグトート、アイコニックなショルダーバッグも登場し、レザーブランドとしての存在感を改めてアピールした。スタイリングのアクセントにもなる“バッグの2個持ち”も印象的だ。

素材や技術面では先シーズンからの継承も見受けられるとともに、さらなる進化を印象付けた。デッドストックレースなどの生地は過去のコレクションのものを引用し、レザーやデニム、恐竜のポップなチャームなどは基本的に再生素材を使用している。ほつれそうに繊細なニットドレスやボタニカル染めのテクニックは先シーズンからさらなる進化を遂げているようだ。今年デビューした「コーチ」のセカンドブランド「コーチトピア」ではストイックなまでにサステナビリティを追求したものづくりをしているが、コレクションラインでもシーズンごとに先進的な環境配慮を行っている。

フィナーレに現れたスチュアート・ヴィヴァースは駆け寄ってきた我が子を抱きかかえ、ゲストに挨拶をして回った。ニューヨークとともに歩んできた10年、これからの10年の進化を予感させるコレクションとなった。

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