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「クリスチャン ダダ」2015年春夏パリメンズ パリに殴りこんだ「ダダ」、最初のランウェイショーは?


 いわゆる“ファッショニスタ”と呼ばれる東京のファッションキッズから絶大な支持を誇ってきた「クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)」が、投資先を見つけ、パリメンズに殴りこんだ。「クリスチャン ダダ」の2015年春夏メンズ・コレクションは、森川マサノリが得意とするダダイズム(否定や攻撃、破壊といった思想を根底に持つ芸術運動)のムード溢れる漆黒のラインアップ。コンパクトなフォルムのジャケットにバイカーパンツのディテールを持つスーツ地のスリムパンツ、ゴールドのファスナーが光る数々のレザーウエア、コルセットを着用しているかのようなシルエットを描く編み込みディテールのシャツなど、ロックでもパンクでもない、ゴスでもストリートでもない、ただ、今の主流であるリラックスや健康的なスポーティカジュアルとは明らかに一線を画す独自の世界観を披露した。

 パリメンズを機に世界に打って出ようとするブランドだけあって、素材は東コレ時代にくらべ、格段に向上した印象だ。レザーブルゾンにあしらったゴールドファスナー、ノースリーブのGジャンに加えた刺繍、エナメルレザーを筆頭に素材の調達と加工には力を入れ、満足いく生地で自身の好きなシルエットを存分に生み出した印象だ。おそらく、桜吹雪を描いた織り地は、そんな自信満々の素材だったのだろう。中盤以降は漆黒に淡いピンクを織り混ぜ、まるで夜桜のようなウエアを用意した。

 東コレ時代に比べ、格段に進歩した面も多い。しかし、パリでのデビュー・コレクションという点から語れば、もう少し熟考すべき点もあった。

 たとえば、その桜吹雪のルック。これは、デビュー・コレクションで披露すべきものだったかどうかについてはもっと深く検討すべきだっただろう。残念ながら、夜桜ウエアはダダイズムとは趣の異なる、「ダダ」の普段とは一線を画すクリエイションで、むしろ日本人デザイナーにとっての“正統派”のような印象を受ける。そして、森川デザイナーを知らない欧米人にとって、このコレクションは「ダダ」をジャポニズムと結び付ける誤解のきっかけになってしまった危険性もある。

 今年30歳を迎える若手デザイナーだ。もう少しストリートの要素、たとえば14-15年秋冬コレクションで発表したボリューム&タイトのシルエットを提案するなどして、台頭する90年代の香りを加えても良かった。気合十分で乗り込んだからこそ、その気負いがあらぬ誤解を招かなかっただろうか?再考の余地も残したデビュー・コレクションだった印象だ。

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