ファッション

「ロエベ」は目を逸らせない二次元のドレス 「イッセイ」は一枚の布に改めて向き合ったけれど……【2023-24年秋冬パリコレ取材はどこまでもVol.4】

 パリコレは中盤戦に突入!ここからはファッションショーで拝見したコレクションのディテールを確認するための展示会も数が増え、ドタバタ具合はピークに突入!ということで、本日は朝少し早めの展示会からスタートです!

9:30 「バーバリー」
新型バッグの開発に
意欲満々のムードがヒシヒシ

 本日は、「バーバリー(BURBERRY)」の展示会からスタート。ロンドンでのショーのレビューは、上記のリンクを読んでいただければと思います。

 展示会で強く感じたのは、新しいバッグ&シューズへの意欲です。クリエイティブ・ディレクターのダニエル・リー(Daniel Lee)は、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」でも“カセット”など、みんなが憧れるバッグを生み出した実績の持ち主ですから、期待しちゃいますね。とは言え、「ボッテガ・ヴェネタ」の職人たちは、デザイナーの期待に応えるどころか、それを上回る提案ができるプロフェッショナルと聞いたことがあります。「バーバリー」での挑戦は、「ボッテガ・ヴェネタ」での挑戦とはまた一味違うでしょう。ファーストシーズンの提案は、アルファベットの「B」のシルエットを活かしたホーボーバッグなど。メタルパーツは、チェスの馬やナイトがモチーフでした。個人的には、ブランケットウールで作った湯たんぽが欲しいな(笑)。

10:25 「レオナール」
秋冬も華やかな花柄
キルティングで冬山ムードも

 今日のショーは「レオナール(LEONARD)」でスタートです。春夏は色鮮やかなシルクプリントで描くリゾートファッションのイメージですが、秋冬はいかに?鮮やかな花柄プリントなどはそのままに、キルティングのブルゾンなどに仕上げました。

12:00 「ロエベ」
“前菜”のNCTテヨンも
メインのコレクションも最高!

 本日のメインディッシュの「ロエベ(LOEWE)」は、“前菜”として、会場入りするセレブリティのパパラッチから楽しみましょう(笑)。事前情報によると、海外からはNIMIXXの6人組&NCTのテヨンがパリ入り。日本代表は本田翼さんです。2人がかりで無事に3組の撮影を終え、楽しんだメインディッシュは最高でした。

 同じシーズンのメンズ同様、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、服の本質に立ち返って装飾を削ぎ落としました。一方でメンズと異なるのは、メンズでは洋服を最高に美しい瞬間で固めたのに対し、ウィメンズでは流動性や重力を意識して、生地が自然と垂れ下がったり、モデルが歩くことによって生まれるムーブメントを利用したりしたこと。固めたメンズに対して、解放したウィメンズとも言うべきでしょうか?こうしたアイデアは、前回のウィメンズを思い起こさせる生地の一部を吊ったり摘んだりしたカシミヤニットやレザーシャツ、胸の中央のメタルパーツから生地が放射線状に流れるドレスで表現しています。つまり今シーズンのウィメンズは、前回からのアイデアを発展させつつ、メンズともシンクロしているというワケ。ジョナサンのコレクションの構成力には驚くばかりです。

 洋服本来の魅力を認識すべく、昔の洋服を転写プリントしたシルクサテンのドレスも連打しました。平面的なパターンワークのドレスには、輪郭として余白を残した状態でヴィンテージドレスをかすれたように転写プリント。真っ白な余白が転写プリントしたドレスを引き立てつつも、ピンボケしているので「ドレスなのかな?」と確認するために目を凝らすので、結果的にますます洋服本体に視線を送ってしまいます。

 バッグの新型は、これまたドレープが美しい円形のレザーバッグ。ドーナツ状のチェーンでハンドルの長さを変えることが可能です。メンズで登場した“パズル”バッグのビッグトートや、前回仲間に加わった横長の“パセオ”のスエードバッグなど、アクセサリーにおいてもゆっくり(でもないかw?)、しっかり進化しているのが印象的です。

13:30 「イッセイ ミヤケ」

 お次は、「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」。ショーは木琴のアンサンブルをBGMにスタートしました。

 今回は四角形をテーマにコレクションを制作。全ては一枚の布から始まる「イッセイ」らしいスタートです。昨年、三宅一生さんがお亡くなりになられ、改めて原点に立ち返ったのかもしれません。そして、洋服の本質を見つめ直し、一枚の布に真剣に向き合うブランドが急増している今シーズンのムードとも合致しています。

 四角形との向き合い方は、多種多様です。序盤は巨大な四角形の布を大きく折りたたんだようなトップスやボトムスを提案。その後は小さなリブ編みの四角形を無縫製で縦横無尽に繋げて生まれる歪みをドレスのシルエットとしてみたり、完成した真っ白なドレスを畳んだ状態で黒い四角を描いて再び広げてみたり。ただいずれも、正直最後の形は“奇妙”です。

 不思議な感覚は、新しいものが生まれるべきファッションショーでは常々抱く感情です。そこで私は、その不思議な感覚はポジティブなものなのか?ネガティブなものなのか?ポジティブになり得るネガティブなのか?ポジティブにはなり得なそうなネガティブなのか?を吟味したいと思っています。ポジティブな違和感には、新しいからこそ言葉では表現しきれないけれど感覚的に「新しい」と感じる予感や、自分のスタイルには存在しなかったけれど挑戦してみたいと思える可能性などがありますが、今回の“奇妙”は、それとはちょっと異なりました。食指が動く新しさではなく、ただ“奇妙”に思えてしまったのです。アイデアは豊富でしたが、いずれもエモーションを揺り動かされるものではありませんでした。四角形との向き合い方が多様だっただけに、いずれも発展途上で残念な気持ちです。デザイナーの近藤悟史さんには、「もう少し肩の力を抜いて大丈夫!」と背中をさすってあげたい。そんな気持ちです。

14:15 「ジバンシィ」

 マシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)の大いなる可能性を感じた、「ジバンシィ」の展示会へ。メンズと共通のダメージ加工しまくりのストリートパートは、やっぱりめちゃくちゃカッコよかったです。

15:00 「ジャンバティスタ ヴァリ」
「これでいい」ではあるけれど
「これがいい」には至っていない

 すっかり中東の大富豪向けブランドに変わってしまった感がある「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は、ドレスのオンパレード。カスケードラッフルをあしらったり、胸元でシフォンを交差したり、そこにフェザーの装飾を加えたり、美しいけれど確かに日本に大きな市場はなさそうです(笑)。ツイードのジャケットやGジャンも登場しますが、こうしたアイテムは正直「ジャンバティスタ ヴァリ」で買う必要はないかもですよね?「これでいい」はあるけれど、「これがいい」が存在しない。そんな印象でした。

16:30 「ニナ リッチ」
エモーショナルな26歳の
若手デザイナーに望むこと

 さぁ、お次は今シーズンおそらく最年少のデザイナー、26歳のハリス・リード(Harris Reed)新クリエイティブ・ディレクターによる「ニナ リッチ(NINA RICCI)」です。

 上の記事にある通り、多種多様なモデルにジェンダーも年齢も超越したスーツやドレスを着せてインクルーシブなムードを醸し出しましたが、コレクションは発展途上。若いので、今後に期待です。

 1つリクエストができるなら、リードが話す「ニナ リッチ」の「カラフルな色使いやワクワクする要素」のオリジン、忘れられているという「(創業者の)ニナの大胆さ」をまずはちゃんと見せて欲しいと思います。正直「ニナ リッチ」よりも「ハリス リード」に思えたブランドを見て、改めて思ったのは「『ニナ リッチ』って、どんなブランドなんだっけ?」でした。私はラース・ニルソン(Lars Nilsson)の時代から、オリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)、ピーター・コッピング(Peter Copping)、ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)、 ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter)とリジ―・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)、そしてハリス・リードに至るまでの「ニナ リッチ」に触れていますが、それでも“「ニナ リッチ」らしさ”って言われてみればまだわかっていません。振り返れば歴代デザイナーも、自分らしいコレクションを手掛けた印象で、“「ニナ リッチ」らしさ”だったのかは懐疑的です。

 だからこそ、リードには改めて、その“らしさ”を見せて欲しい。きっと甘いフェミニニティーだと思うのですが、今回のショーのフィナーレで感極まったようだったリードなら、きっと見せてくれるはずです。

18:00 「ヴィクトリア ベッカム」
やっぱりカッコいい
セットアップをたくさん見たい

 さて、本日のラストは「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)。こちらも、ここ数年の変革期を経て、正直日本人には縁遠いドレス中心のブランドになりました。

 今シーズンもホルターネックのプリーツドレスや、エンジェルスリーブのネグリジェ風ドレスは、正直なかなかな難易度。代わりに一時影を潜めたセットアップが再登場で安心感を覚えました。

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