ファッション

プレタ依存からアクセサリーも柱に ジャパン社社長が語る「ランバン」改革の進ちょく

 「ランバン(LANVIN)」は昨冬、東京・銀座に新たな旗艦店をオープンした。ブランドを手掛けるのは現在、中国のフォースン ファッション グループ(FOSUN FASHION GROUP)改めランバン グループ。銀座店の運営は、本国出資100%のランバン ジャパンが手掛け、コロネットは卸とPRを担当している。相次ぐデザイナー交代で迷走していた「ランバン」は現在、どのような状況なのか?グレイス・ジャオ(Grace Zhao)社長に話を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「ランバン」が銀座にカムバックした。

グレース・ジャオ=ランバン ジャパン社長(以下、ジャオ社長):ゴールドのリーフ飾りなどでパリの店舗から得たインスピレーションを表現しながら、オープン当初は河村康輔さんとのコラボレーションで日本らしさを加えることもできた。ソフトでフェミニン、ラグジュアリーなのに居心地が良い「ランバン」らしい空間に仕上がったと思う。

WWD:そもそも、現在の「ランバン」の店舗網は?

ジャオ社長:パリの他、北京や上海など中国では10店舗程度を営業している。中国本土以外のアジアでは、香港や台湾にも店舗を持っている。

WWD:その中で、日本はどんな位置付け?

ジャオ社長:とても重要。日本人は流行に敏感で、賢く消費し、確固たるスタイルを持っている。アジアでのコロナの影響は今なお小さくないが、それでも東京の街には活気が戻り、もう一度外に出て、楽しみたいというムードが盛り上がってきた。イヴニングドレスも有名な「ランバン」にとって、銀座店のオープンは絶好のタイミングだ。

WWD:とはいえ、日本でイヴニングはなかなか難しい。

ジャオ社長:「ランバン」ウーマンは、“コケット(フランス語で、可愛らしい色っぽさの意味)”。ブランドの本質と、日本人女性の精神性は近いと思う。加えて今の若い世代は、ドレスをオケージョンウエアとは捉えていない。日常生活やビーチでさえ楽しむほどのアティチュードを持っている。「ランバン」のドレスは、ハイヒールにもビーチサンダルにもピッタリ。エレガントな洋服を自分らしく、楽しく、コケットにまとう価値観も訴えたい。

WWD:アルベール・エルバス(Alber Elbaz)の退任以降しばらくはクリエイティブ・ディレクターも定着せず、そもそもオーナーが変わり、混乱していた。現状は?

ジャオ社長:この2年で状況は安定・好転した。私たちは今の「ランバン」の可能性を強く信じ、経済的にもクリエイティブな環境整備においても、パリをサポートしてきた。幸い、この2年でアイコニックな商品がいくつも誕生した。スニーカーの“カーブ”、バッグの“ペンシル”“ペンシル キャット”は代表例だ。以前は、プレタポルテとイヴニングで支持されていたが、今はバッグやシューズのビジネスも大きい。おかげで中国では百貨店での存在感もアップした。望まれるブランドに成長を遂げつつある。加えて、オンラインのビジネスも成長している。中国ではすでに、全体の3割を担っている。

WWD:その成功体験を日本でも実現したい?

ジャオ社長:同じことができるとも、少し違うとも思っている。同じアジアでも、日本人と中国人のライフスタイルは違う。たとえば日本人は、色彩において中国よりもコンサバ。明るい色の商品には慎重になるだろう。ローカルなアプローチが必要だ。贈り物文化の中国では、パリのクリエイティブチームが主導する形でギフトアイテムを提案した。日本にも同じような文化があるが、贈り合うギフトは異なるだろう。日本のパートナーの伊藤忠商事やコロネットと一緒に、どんなローカル戦略がふさわしいのか考えたい。パリや中国のように日本でもエモーショナルにつながるには、日本の価値を知るパートナーの存在が大事。一方、パリのクリエイティブチームの価値を毀損することもしない。デザインの主導権は、あくまでもパリだ。

WWD:「ランバン」は、日本ではライセンスブランドも手掛けている。

ジャオ社長:ランバン グループの前身のフォースン ファッション グループ(FOSUN FASHION GROUP)の頃から、私たちはライセンスビジネスに強い。ブランドの一貫性については気を遣うが、今の消費者は賢い。ジャケットのライニングまでシルクの「ランバン」は、ライセンスブランドとは違う。消費者も、その違いは認識できるだろう。

WWD:銀座を皮切りに、日本でも出店戦略を加速させる?

ジャオ社長:2023年春夏は、伊勢丹新宿本店メンズ館に出店する。ただ、まずは銀座店の成功が大事。さまざまな可能性は模索しているが、具体的な数字は設けていない。

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