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アシックスが新作スニーカーで温室効果ガス排出量の世界最少を達成 2023年発売へ

 アシックスはこのほど、商品のライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガス(GHG)排出量を大幅に削減した新作スニーカー“ゲルライトスリーシーエム 1.95(GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95)”を発表した。GHG排出量は、1.95kg CO2e。「アディダス(ADIDAS)」と「オールバーズ(ALLBIRDS)」が協業したランニングシューズ“フューチャークラフト.フットプリント(FUTURECRAFT.FOOTPRINT)”の2.94kg CO2eを下回り、「現時点でGHG排出量が公表されているスニーカーの中では最少」の値を実現した。発売は2023年を予定する。価格について廣田康人社長は、「このシューズをみなさんに履いていただくことが重要で、(通常の価格帯と並ぶ)150ドル前後を予定したい」という。

 廣田社長が目指すのは、同社の全商品のGHG排出量を削減していくことだという。「これを第一歩として捉えている。1.95という数値もさらに削減していく努力を続けるとともに、ほかのパフォーマンシューズにもこの技術を応用して翌年以降順次発表していく。GHG排出量削減は、シューズメーカーだけでなく、モノづくりに携わる全ての企業が取り組むべき人類的テーマだ。特許を申請する技術もあるが、基本的には業界をあげて削減に向けてのムーブメントをグローバルに展開していきたい」。

 今回特に削減に貢献したのが、新たに開発した“カーボン・ネガティブ・フォーム”だ。サトウキビ由来の原料を用いた、複数のバイオベースポリマーを使用したフォーム材で、ミッドソールと中敷に採用した。フォーム材の製造時に排出するCO2排出量よりも、サトウキビの成長過程でのCO2吸収量が大きいため、カーボンネガティブを実現している。

 また、パーツのサイズを最適化し、数を減らしたこともポイントだ。例えば、アッパーの補強には、リサイクルポリエステルのテープ状のパーツを用いた。これを折り返してアイレット部分に配置した。こうした工夫により、従来の“ゲルライトスリー”が約65パーツで構成しているのに対し、“ゲルライトスリーシーエム 1.95”は19パーツまで削減。軽量化にもつながった。アッパーと中敷には、原料自体に着色する技術「ソリューションダイ」で染色したリサイクルポリエステルを使用した。

 同社は10年から米国マサチューセッツ工科大学(MIT)と、フットウエアのLCA(ライフサイクルアセスメント)に関する共同研究を進めてきた。今回は同研究で得た知見に基づき、“材料調達と製造”“輸送”“使用”“廃棄”の主要4段階で、削減策を特定し改善を重ねた。加えて今回は、バリューチェーンの計測項目を増やして計算精度を高めた。結果として、“材料調達と製造”では、従来のスポーツカテゴリー商品と比較してGHG排出量を約80%削減。“輸送”においては、バイオ燃料を活用することで約75%削減した。“使用”はこれまでと同等の数値で、“廃棄”に関しては、シューズリサイクルが普及していないことを踏まえて、焼却や埋め立てなどの実際の廃棄方法に即したシナリオに修正した結果、15%増となった。

 吉川美奈子サステナビリティ統括部統括部長は、「MITの教授らは、私たちが計測項目を増やしているのにもかかわらず、大幅な削減を実現できたことにとても驚いていた。この数値を達成できたことで、業界全体の一つのベンチマークになるはずだ。“ゲルライトスリー”を最初のモデルに選んだのは、ほかの商品にも応用が効くためだ。これまでに開発したイノベーションとも掛け合わせ、より多くのラインアップでサステナビリティと品質を両立させていく」と話す。