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スウェーデン発「イケア」の誰でも参加できるSDGs消費 地球、お財布、子どもにも優しいショッピング

 スウェーデン発ライフスタイルブランド「イケア(IKEA)」は8月30日、東京・原宿の「ウィズ・ハラジュク」でイベント“イケア ライフ アット ホーム:イケアと考える「より快適な家での暮らし」”を開催した。「イケア」は、2017年に自社EC、20年にはアプリをスタート。今年4月までのアプリのダウンロード数は280万以上だ。また、20年から、原宿、渋谷、新宿など都心への出店を加速し、郊外店とは違う若年層を中心とした顧客層を獲得。コロナによる“おうち時間”増加や“リモートワーク”などの消費者の“ニーズ” や“欲しい”に応えている。

 30日のイベントは単なる新作発表ではなく、イケアという企業の活動全体の発表の場だった。まず、朝山玉枝イケア・ジャパン カントリー ピープル&カルチャー マネジャーが登壇し、企業姿勢や今後の活動について発表。オムニチャネルをはじめ、異なる個性を持ったシティーショップ(都心店舗)出店について、「手ごろで環境・地球に優しい商品を好きな方法で購入してもらうのが目的だ」と話す。24年には、群馬・前橋に、最も環境に配慮した郊外型ショップが登場し、250人を新規採用予定だという。

社員1人1人のハッピーが消費者に喜びを与えられる

 イケアのモットーは、“平等” “インクルージョン” “仕事と生活のバランス”。「消費者に喜んでもらうには、社員がハッピーじゃないと無理」というのが根底にある。だから、国籍、性別、学歴などに左右されず働ける環境だ。朝山マネジャー自身が女性管理職だが、同社の女性管理職の割合は51.5%と高い。各社員のライフステージに応じて、誰もが活躍できる職場を目指した制度を採用している。イケアのキャリアパスの説明も興味深かった。通常の企業だと、図にすると横または上に行くのが当たり前と思われがちだが、同社では、ジャングルジムのようなキャリアパスを縦横自在に本人の意思により選べるようになっている。同マネジャーは、「人は、一人一人違う。あなたは、あなたのままでいい。いろいろな人が集まっているから、おもしろい企業文化ができる」と語る。同社に勤務して18年というベテランだが、「会社に行きたくなかった日はない。毎日が楽しい」とにこやかに話す姿が印象的だった。

 同社では、マタニティーに限らず、“パタニティー(父性)休暇”という制度があり、性別関係なく年間15日有給休暇を取れるようになっており、その消化率は100%だと言う。各社員のライフ&ワークバランスはイケアになくてはならないもののようだ。

循環型ビジネスへシフト

 イケアが目指すのは2030年までに再生可能素材またはリサイクル素材を100%使用した循環型ビジネスへのシフトだ。そのために、同社では、認証プログラムへの参加も積極的。現在の再生可能素材を使用した商品の割合は全体の55.8%、リサイクル素材を使用した商品は17.3%だ。アイコニックな「イケア」の青色の“フラクタ”などのバッグや人気のソフトトイ(ぬいぐるみ)などにもリサイクル素材が使用されているそうだ。

 平山絵梨イケア・ジャパン カントリー サステナブル マネジャーは、「イケアで使用する素材のほぼ全てが『FSC(持続可能な森林管理)』認証や『WWF(世界自然保全基金)』認証を受けている。また、アルカリ電池から1000回充電できる充電式電池“ラッダ”(税込499円)に切り替えた。プラスチック包装材も28年までに使用廃止を目指している」と話す。イケアは100%「WWF」認証のベターコットンを使用しているそうだ。17年に始めた「イケア」の家具買い取りサービスは、今まで約3万点を買い取って再販したという。「ダンボールはシュレッダーで緩衝材にしてお客さまへの配送に再利用しており、配送に関しても25年までに100%Co2ゼロエミッションを目指したい」。

提示するだけで子どもをサポートできる「イケア ファミリー」

 メンバーになると割引などが付くプログラム「イケア ファミリー」。「そのメリットはメンバーだけでなく、子どもにもある」と平山マネジャー。同プログラムでは、「子ども募金」という制度があり、会計時にカードを提示するたびに10円が積み立てられる仕組みになっているそうだ。この積立金は、各イケア周辺の自治体の「子ども食堂」をはじめ、教育機関、擁護施設などのサポートに使用される。ちなみに、21年度に集まった金額は約5470万円。10円という微々たるものだがメンバーによる認知と意識次第で、積立金が何倍にも急増する可能性がある。

 私はメンバーではなかったが、即メンバーになった。メンバーの得点というよりは、カード提示で自動的に子どもたちを少しでもサポートできるのが魅力だと思うから。これからはショッピングだけでなく、カフェや食事などでも「イケア」を活用して、「イケア ファミリー」カードを提示しようと思う。

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