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コーセー2022年1~6月期は「タルト」好調で増収増益 通期の営業利益予想を下方修正 

 コーセーの2022年1~6月期連結決算は、日本の専門店・百貨店チャネルにおけるハイプレステージおよび欧米の「タルト(TARTE)」が実績をけん引し、売上高が前年同期比4.4%増の1306億円、営業利益が同81.5%増の72億円、経常利益が同112.7%増の151億円、純利益が同193.3%増の88億円だった。前期から決算月を3月から12月に変更し、9カ月(4~12月)の変則決算となるため、前年同期比は前年の比較対象期間に組み替えて算出した。

 事業別では、化粧品事業は、主力の「コスメデコルテ(DECORTE)」が日本で好調だったものの、中国では新型コロナによる経済活動制限の影響を受け苦戦した。「雪肌精(SEKKISEI)」も依然として苦戦が続いたが、ロングセラー化粧水“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”のリニューアルが奏功した「アルビオン(ALBION)」や、「ジルスチュアート(JILLSTUART)」「タルト」「カルテHD(CARTE HD)」が売り上げを伸ばし、売上高は同6.3%増の1055億円、営業利益は同51.1%増の99億円だった。コスメタリー事業は、フェイスマスクブランド「クリアターン(CLEAR TURN)」やヘアケアブランド「ジュレーム(JE LAIME)」、「サンカット(SUNCUT)」を中心に4月以降回復傾向にあったが、第1四半期の減収・赤字を挽回するまでには至らず、売上高は同3%減の241億円、営業損益は5億6000万円円の赤字(前年同期は2億3000万円の赤字)だった。その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売やOEM生産の受注が増加したことで、売上高は同5.6%増の8億5000万円、営業利益は同48.9%増の4億5000万円だった。

 地域別では、日本はドラッグストアなどでプレステージの苦戦が続いたが、コスメタリーと専門店・百貨店チャネルにおけるハイプレステージが好調に推移し、売上高が同5.6%増の757億円だった。アジアは、防疫規制の緩和により韓国が回復するも、中国におけるロックダウンの影響が大きく、売上高が同4.3%減の360億円だった。北米は、「タルト」が底堅い個人消費に支えられ、主力のコンシーラーや新商品のリップが売り上げを伸ばし、売上高が同17.9%増の165億円だった。その他は売上高が同35.9%増の22億円だった。

 小林一俊コーセー社長は、今期における4つの重点取り組みを発表した。1つ目は、中国・トラベルリテール市場の攻略だ。中国では「コスメデコルテ」「雪肌精」の認知度向上を狙い、海南島に「コスメデコルテ」の旗艦店を10月にオープンし、「雪肌精」は海南島免税店に専用カウンターを今秋導入する予定だ。トラベルリテールにおいては、これまでASEAN地域を中心に免税店の出店を進めてきたが、5月にオーストラリア・シドニーのロッテ市中免税店に「コスメデコルテ」を出店。「オセアニア地域の第1号店として今回の出店を機に同地域でのブランド認知を広げていく」と話す。

 2つ目は、ブランド価値の向上だ。昨年9月に開始した「コスメデコルテ」のオンラインカウンセリングシステムは「お客さまにも好評」という。9月に新機能を追加し、ビデオ通話から商品購入まで全て一連の動線で完結する予定だ。「今後もデジタル技術を生かし、オンラインにおいても実店舗と同じようなきめ細やかなカウンセリングを行うことで、お客さまにパーソナルな顧客体験を提供して行きたいと考えている」と話す。また、22年上半期のベスコトスメに関しても触れ、「メイクアップ商品が回復基調にある。今後も当社の強みである商品力を活かし、お客さまのさまざまなニーズにお応えできる商品を開発していきたい」と意気込む。8月には「コスメデコルテ」のAQラインから発売する多色フェイスパウダー“オーラ リフレクター”やアルビオンの新スキンケアシリーズ「フラルネ(FLARUNE)」の発売を控えており、「特に若いお客さまへのアプローチを進めていく」とコメントした。
 
 3つ目は、アフターコロナを見据えた構造改革と成長戦略だ。伸長を続ける敏感肌ケアカテゴリーにおいて、コーセーの「雪肌精」の“クリアウェルネス”シリーズ、コーセーマルホファーマの「カルテHD」、コーセーコスメポートの「セラミエイド(CERAMIAID)」と3社の商品の合同プロモーションを実施し、「グループを上げて敏感肌市場を席巻していく」と話す。

 4つ目はサスティナビリティ戦略の推進だ。次世代に向けた多様性教育支援のほか、「新たに2040年までにCO2の排出量を実質0にするカーボンニュートラルを目指すことを決定した。 今後もCO2削減に向けた実効性のある取り組みをグループ全体で推進する」と締めくくった。

 22年12月期の連結業績予想は、中国市場での競争激化に伴う収益性の悪化や、ウクライナ情勢の悪化による原材料価格の高騰や円安による原価率の上昇を受け、営業利益を下方修正する。修正後は営業利益が200億円(修正前は220億円)とし、このほかは年初計画通りに着地する見通しで、売上高は2930億円、純利益は165億円を見込む。

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