ビューティ

スパーティーの深山代表が描くリーダー像は「高い視座とビジネスの両輪を回せる人」【ネクストリーダー2021】

 スパーティーは日本初のパーソナライズヘアケアブランド「メデュラ(MEDULLA)」やパーソナライズスキンケアブランド「ホタル パーソナライズド(HOTARU PERSONALIZED)」などを展開し、日本の美容業界におけるパーソナライゼーションをけん引してきたビューティテック企業だ。「メデュラ」は2018年5月にローンチしてから約2年半で累計会員数30万人を突破(21年1月時点)するほど急成長。「メデュラ」で培ったノウハウを生かし、20年5月に「ホタル パーソナライズド」がデビューし、3週間で診断数1万人を記録した。19年12月には丸井グループやジンズホールディングスなどから6億円の資金調達を行い、体験型店舗やポップアップを全国の商業施設でオープンしてOMOを加速させてきた。自社ブランドに加え、パーソナライズドD2C事業のソリューションの提供も開始し、活躍の幅を広めている。そんなスパーティーの深山陽介代表を、業界を率いる次世代のリーダーをたたえる「WWD NEXT LEADERS 2021」のアドバイザーとして迎えた。深山代表が考える業界の課題や、これから業界をリードする人物像について聞いた。

WWD:今の美容業界を変えるには、何が必要と考えるか。

深山陽介スパーティー代表(以下、深山):新しいマーケティングの手法やプロダクトより、新しい仕組みこそ業界を変えると思う。それを今の時代成し遂げるには、やはりデジタルとの連携は必須。今の世の中は、ちょうどデジタル起点でリアルが再定義されていくタイミングにある。小売りで言うと、これからデジタルがますますリアル店舗のあり方を変えていくだろう。例えばナイキ(NIKE)は店舗数を大幅に減らして残った店舗を体験型店舗と位置付けたが、リアルをいわゆる“体験の場”としてとらえる仕組みや考え方が増えていくと思う。

また、ナイキのような大手は、歴史が長ければ長いほど古くから残る会社の仕組みや風習もあるだろうし、組織内のさまざまな勢力を押し切って変革をもたらすのはなかなか大変。とはいえ、コロナ禍だからこそ多少の痛みを伴っても、新しいことに挑戦する必要性を各社感じているはず。業界を変えるには、やはりその業界のトップ企業が変わらないといけない。業界リーダーの意識がどんどん変わっていって、アクションも変わっていくと業界全体も進化するし、われわれのようなスタートアップにも大きな影響を与える。だからベンチャーだけでなく、大手もこれからデジタル戦略を加速させると、日本の美容業界はもっと面白くなると思う。

そして何より大事なのは、開発した新たな仕組みが、関わる全てのプレイヤーを幸せにすること。仕組みのどこかに無理がかかっていると、一時期には良くとも、どうしても持続可能性がなくなる。消費者はもちろん、社内の人から取引先など外部の人まで、全員がハッピーな仕組みこそ業界を変えるだろう。

WWD:ファッションやビューティ企業も、最近関わる全ての人がウィンウィンの関係のエコシステムを築き始めている。

深山:そうでないと続かない、ということに気づき始めているのではないだろうか。とはいえ、日本はまだ遅れていると思う。海外では“エコ”とうたう製品やブランドは多くあるが、日本だとそこを強調しても売れなかったりする。それはおそらく、日本はベースとして幸せすぎる国で、みんな幸せに慣れきっているから。市場が高品質なもので溢れていて、それが手軽に安く手に入る。でも満たされているからこそ、人は社会に貢献したり、誰かのためになったり、慈善活動をしたくなるはずで、今後はこういった傾向が強くなると思う。

さらに言うと、これからテクノロジーがさらに進化して、AIやロボット技術も多様化すると、人間は今よりも暇になると予測する。そうなると、自分の人生の質を高められるものに対する消費の価値が上がる。それを形作るものとして、環境に良いもの、社会に貢献しているものがどんどん台頭するだろう。

WWD:そんな変革を率いる人はどんな人?

深山:個人的には、あまり正論ばかり言う人には心が引かれない。一方的に正論を言われても、人は動かない。例えばサステナビリティやフェムテックなど昨今あらゆるトピックスが話題になっているが、当たり前なことをそのまま言われるだけでは、いくら大事だと分かっていても、人はなかなか行動に移さない。いかにクリエイティブな方法で人を動かせるパワーを持っているか。感動や楽しさで人の心を動かせるかが大事だと思う。

WWD:「メデュラ」や「ホタル パーソナライズド」でも、製品だけでなく付加価値として感動や楽しみを提供している。

深山:パーソナライズはあくまでも手段でしかなく、お客さまにとって一番は、悩まないで自分に合ったものが買えるということ。そのためパーソナライズを支える仕組みや細かなロジックの部分は(お客さまには)そこまで言わず、それより楽しい体験を提供できるように意識している。

WWD:スパーティーも事業を拡大し、チームも大きくなっているはず。これから会社のさらなる成長を率いるプレイヤーとして、どのような人材を求めるのか。

深山:まずは自身が楽しんでいて、仕組みや事業に誇りを持っている人。収益が第一義でなくなってる時代において、会社に所属する価値というのは、仲間で集まって、何か自分たちが心から楽しめる新しいことを成し遂げて、その誇りをみんなで共有できることなのではないだろうか。あとは、やはり素直で何でも吸収できるような人がいいな、と思う。結局、そういう人こそ周りを引っ張っていけるし、既存のプレイヤーに影響を与えられるだろう。

WWD:現状の美容業界の課題をどう見ているのか。

深山:やはり世界展開が大きな課題かと。日本の化粧品はまだまだ世界で戦えるし、日本独自の文化を発信する価値はあると信じている。特に今は韓国が国をあげてコンテンツや化粧品の輸出に注力していたり、中国も圧倒的にモノの質がよくなっていたりするので、これからどんどん成長すると思う。そうなるとますます日本の存在価値が下がる懸念がある。

それを変えるには、視座の高さと、ビジネスの両輪を回せるようにならないといけないだろう。社会的にはいいけれど、ビジネスとして成り立っていない事業もあれば、ものすごく儲かるけれど、社会的なイメージが悪い事業もある。今後日本のポジションを世界の中でも高めるためには、(社会的に)いいことをしてるだけでもダメだし、ビジネスとしてうまくいってるだけでもダメ。その両輪を回して世界を目指すくらいの視座の高さを持つような人に自分もなりたいし、そういう人たちがこれから台頭していけば、業界は大きく変わると思う。

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