ファッション

ひょうひょうとしたモヒカンデザイナーが作る、 「ノワール ケイ ニノミヤ」の強さ エディターズレター(2020年11月10日配信分)

※この記事は2020年11月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ひょうひょうとしたモヒカンデザイナーが作る、 「ノワール ケイ ニノミヤ」の強さ

 先月東京で開かれた「コム デ ギャルソン」の2021年春夏コレクションは、NHKでの放映もあり話題になりましたね。あの日、午後にはもうひとつ、「ノワール ケイ ニノミヤ」のショーが同じく南青山の本社内で開かれました。私、このブランドを率いる二宮啓さんを尊敬しています。彼はこれからのコム デ ギャルソン社を、そしてファッション業界をリードする存在だと思っています。ギャルソン社のデザイナーというと少々近寄りがたいイメージあるかと思いますが、会って話すと彼は誰に対してもフランクで物腰柔らか。自身のモヒカンをギャクにしてみせるなど、サービス精神もあります。

 物腰は柔らかいのですけどね……でも、すっごく強いのです。スピリットが。それは作っている服に表れています。コレクションの内容については丁寧に取材をしている大杉記者のリポート(下のリンク1本目)をぜひお読みください。

 その強さがどこから来るのか?「ノワール ケイ ニノミヤ」のショーを見るたびに考えます。「コム デ ギャルソン」とは共通項が多いです。“一ルック一ルックにアートのようなメッセージ性があり、だけどあくまで人が着て歩く“服”である。”共通項はあるが、両ブランドは明らかに違う。その違いは何なのでしょうか?

 川久保さんの「コム デ ギャルソン」から私がいつも受け取るのは、既存の価値や固定観念を一度壊して新しい価値を見せて前へ進もうとするエネルギーです。「美しいとは?強いとは?それでいいの?これでいいの?」と見る者に投げかけてきます。パリコレデビュー時のヨーロッパの服飾の歴史を覆すような黒の提案はまさにその象徴ですよね。馴れ合いや固定観念は一度壊さないと前へは進めない。そんな覚悟をそこに見ます。「ノワール ケイ ニノミヤ」のDNAはそんな「コム デ ギャルソン」にありつつ、どこか違う。彼の服を見ていると、“壊す”のではなく“つなげる”というメッセージを受け取るのです。

 そんな話をショーの後に二宮さんにぶつけたら「特別、壊すことは意識したことないです」と返ってきました。続けて「自分がやりたいこと、きれいだと思うことをただただ作る。ファッションの流れがどう変わったとしても自分のやりたい仕事は決まっているので、そういったモノづくりを続ける、人々に伝えてゆくことをやってゆきたい」とも。川久保さんの仕事を絶対つないでいくんだ、そんな覚悟もそこに見ます。

 はっきりとした大きな“体制”がない今の時代は、戦う相手も不明瞭。そんな時世には途切れずつなげるところに強さが生まれるのかもしれません。「きれいだと思うことをただただ作る」デザイナーを応援したいと思います。

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