ファッション

パリコレデザイナーに聞く コロナ禍でのショーに踏み切った理由

 2021年春夏パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)はコロナ禍での開催となったが、18ブランドがリアルなランウエイショーを行った。特にフランスでは感染状況が悪化しつつあり、日々変わる状況に対応しながらの実施となった。パレ・ド・トーキョーの中庭を会場にした「クロエ(CHLOE)」や70人規模のショーを3回開いた「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」など4ブランドのデザイナーに、ショーにこだわった理由とその意義を尋ねた。

AMI ALEXANDRE MATTIUSSI

“リアルなショーはコレクションのストーリーを語る最良の方法。人々が生み出すエネルギーや音楽、照明が合わさることで“魔法”を起こすことができる。それがコレクションをより美しく見せるんだ。(セーヌ川の遊歩道をランウエイを設けた)ロケーションに関しては、衛生面を考えて屋外を選んだ。セーヌ川はこの街を象徴する場所だし、パリジャンによるパリらしいショーにしたかったからね。そしてショーを通して、希望のメッセージと共に、人には社会の中での出会いやコミュニケーションが必要であることを強調したかった。”
―――アレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)「アミ アレクサンドル マテュッシ」デザイナー

CHLOE

“私たちは皆、ロックダウン中にショーの開催について考えたけれど、それでもやはり必要だと思った。人々が集まるリアルなショーはエモーショナルな瞬間であり、編集もごまかしもない一度きりのパフォーマンス。実際に動く様子を見せるのがコレクションのストーリーを伝えるのには最適だと思うので、この状況でも開催することにこだわった。ただ、リアルと同様に今回はデジタルでの見せ方も大事。実際にパリに来られない人も多いからね。どちらの観客も同様の体験をしてもらえるように、(パリの街角にいるモデルがランウエイへと歩いてくる様子を映した映像から始まる)新しい演出を取り入れた。それはある意味、パリという街やパリジャンのアティチュードへの美しいオマージュでもあるの。”
―――ナターシャ ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)「クロエ」クリエイティブ・ディレクター

 

KOCHE

“パリではリアルなファッションショーが広く認知されているけれど、今回実施するメゾンが少なかったのは通常より複雑だったから。チームにとって平時以上のエネルギーを必要とするし、「コシェ」では保健衛生上のガイドラインを守って進行したわ。私にとって、パリコレ中にフィジカルに発表することはとても重要。その中で起こる“魔法”を再現するのにデジタルはまだ不十分だと思うし、そんな“魔法”のために私がファッションの仕事をしているの。デジタルプラットフォームやソーシャルメディアでも配信できるけれど、リアルな人間が目の前を歩いてゆくという雰囲気は何ものにも代えられない。今この時がどんなに複雑であっても、可能な限り諦めてはいけないと世界の人々に示したかった。”
―――クリステル・コシェール(Christelle Kocher)「コシェ」デザイナー

PACO RABANNE

“ショーはファッション業界にとってクリエイションを称える半年に一度の機会であり、皆に会うことを楽しみにしていた。チームも賛成してくれたしね。それに自分たちだけでなく、ヘアやメイクアップ、キャスティングなど毎シーズン携わってくれている全ての人にとって、ショーは重要な仕事でもある。今シーズンはやらないという選択肢はなかった。もちろんデジタルも活用はするけれど、リアルな女性たちが本物の服を着て歩くのを見せる以上に親密かつ正確に伝えることはできないと思う。ショー開催には衛生基準を遵守する必要があったから、今回はそれを考えていつもならキャパシティー的に選べないような小さな会場を選び、3回ショーを行った。ギャラリーのアートインスタレーションのような親密な雰囲気を出したかったからね。モデルはそこを訪れた人というイメージだったんだ。”
―――ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)「パコ ラバンヌ」クリエイティブ・ディレクター

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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