ファッション

パリコレ現地リポートVol.5 「ジバンシィ」のショールームでマシューと対面!新たなバッグ、シューズ、アクセサリーを一挙公開

 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。10月6日でパリコレが終了しました。開幕時点では最終日までできるのかと心配でしたが、無事終わりホッとしています。紙面の入稿などでちょっとタイムラグが出てしまいましたが、あと2回現地からのリポートをお届けしますので、お付き合いくださいませ。それでは、今季の目玉である新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」のデビューや、「エルメス(HERMES)」「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」のリアルショーなどを取材した6日目と7日目のダイジェストをどうぞ!
 

10月3日(土)

15:00 リアルでもデジタルでも観客を魅了した「エルメス」劇場

 西部の16区にあるテニスクラブ ド パリで開かれた「エルメス」のショーは、なだらかなスロープ状になったステージを眺めるという劇場型のセットでした。客席はおそらく150席程度。なんとも贅沢な空間の使い方です。ショースタートとともにライトアップされると、すでにモデル全員が等間隔で立ちスタンバイした状態。これは、デジタルでの見え方も考慮した演出かと思われますが、現場での迫力も満点でした。メンズのデジタル発表も素晴らしかったし、「エルメス」はリアルでもデジタルでも“魅せる”ことに長けていると感じます。

 “自由の再発見”をテーマにしたコレクションは、クリーンなカットが印象的。そこにレザーのステッチやタブ、 “クルー ド セル”のボタンなどシルバーの金具を加えたスタイルが中心になっています。新鮮だったのは、背中から腰までが露わになったニットのボディースーツやブランケットから着想を得たというロールした襟。ベージュやダークブラウン、白黒をベースにしたワントーンスタイルに淡いブルー、赤、オレンジのアクセントが効いていて、爽やかでした。足元のクロッグスタイルのシューズも上品かつリラックス感があり◎。
 

20:00 セーヌ川に浮かぶ船から見る「アミ」のショー。ところが……。

 実はウィメンズ・ファッッション・ウイークは初参加となる「アミ アレクサンドル マテュッシ」は、セーヌ川沿いの遊歩道を会場に男女合同ショーを開催しました。観客は船に乗り込み、リバークルーズとカクテルを楽しみながらショーを見るという素敵な演出だったのですが、いかんせん船と岸の距離が遠過ぎて、モデルはミニチュア状態!色やシルエットが辛うじて分かるくらいで、リアルなショーとしては残念な結果に……。船内にもライブ配信の映像が流れているスクリーンはあり、そっちの方が断然分かりやすかったのですが、現地に来ているのにスクリーンを眺めるのも違うなぁと思い、純粋にクルーズを楽しませていただきました(笑)。もちろんホテルに帰った後、デジタルで配信されたショー映像はチェックしましたよ!コレクションはベーシックなワードローブを軸に、同系色やツートーンでまとめたスタイルが基本。ハーフジップのニットやクロップドのベストが可愛かったです。

 船を降りた後、アレクサンドルに話を聞くために待っていたら、若いセレブやインフルエンサーが続々と下りてきました。「アミ」はショーのルック自体も結構ウエアラブルですが、モデル体型ではないセレブやインフルエンサーが着るリアルなスタイルは、エフォートレスだけど品があって好印象です。そして、個人的にうれしかったのは、人気急上昇中のイタリア人シンガー・ソングライターのマムード(Mahmood)を生で見られたこと。すでに「バーバリー(BURBERRY)」の広告キャンペーンなどにも起用されている彼ですが、次のファッションアイコンとして、これからさらに注目を集めること間違いなしです。
 

10月4日(日)

13:00 「ジバンシィ」のショールームでマシューと対面!

 今回のパリコレで個人的に最も楽しみにしていたのは、マシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)による新たな「ジバンシィ」のお披露目。今回はランウエイショーではなくオンラインでルックを公開するという控えめな幕開けとなりました。が、なんとも嬉しいことにマシューから改装したばかりのショールームで直接コレクションのプレビューをしてもらえることに。ご本人はとても穏やかでフランクな方でした。説明を聞きながら感じたのは、ハードウエア、ディテール、テクスチャーへの並々ならぬこだわり。コレクションの詳細は別途リポートしていますので、こちらの記事をご覧ください!

 そして、翌日の展示会でバッグ、シューズ、アクセサリーの写真をたっぷり撮ってきました。バッグは“アンティゴナ”のアレンジが豊富で、個人的にはチェーン付きのミニバッグとボディーバッグが気になりました。ゴツいチェーンや南京錠がついたバッグは現時点では結構重かったのですが、商品化までに改良されることに期待です。
 

14:00 「ロンシャン」でパリジェンヌ気分に浸る

 「ロンシャン(LONGCHAMP)」はサントノレ通り近くの広場にあるオシャレ高級食材店「メゾン プリッソン(MAISON PLISSON)」でプレゼンテーションを開催しました。今シーズンのインスピレーションは現代のパリジェンヌ。黒やベージュにフランス国旗をイメージさせるトリコロールカラーを加えた若々しく活動的なスタイルがそろいます。会場ですぐ目に入ったのは、アイコンバッグ“ル・プリアージュ”のボディーがネットのようになったデザイン。なんでも食料品や日用品のショッピングに使うネットバッグで知られるフランスのメーカー「フィルト(FILT)」とのコラボレーションで制作したものだそう。中にスカーフや風呂敷、巾着などを入れてアレンジを楽しめますし、ネットバッグは来春夏のトレンドとしても注目アイテムです。

 レザーバッグの新作はフワフワした触感の“ブリオッシュ”。その名の通り、菓子パンのブリオッシュから着想を得たクロスボディバッグです。お土産を「フィルト」とのコラボバッグにパリジェンヌが買い物をするかのようにいろいろ詰めてくれたのですが、その中には本物のブリオッシュも!もちろん翌日の朝食に美味しくいただきました。こういう時にキッチン付きのホテルだといいですよね。
 

15:00 ブランド流のリアルを考えた「パコ ラバンヌ」

 「パコ ラバンヌ(PACO RABANNUE)」は今回、若手デザイナーのショーが行われることの多いマレ地区の小さなイベントスペースでショーを行いました。先シーズンのショー会場となったコンシェルジュリーにある高い天井と太い柱が特徴的なゴシック建築の空間とは随分と違う印象です。しかもソーシャル・ディスタンシングのルールを守るため、座席は全部で70人ほどしかなく、さすがに少なすぎるだろ〜と思ったら、計3回ショーをやるとのこと。今シーズン、デザイナーと話していてよく聞いた言葉といえば「intimate」なのですが、その意味通り“親密な”雰囲気なショーでした。

 今季のコレクションは、「パコ ラバンヌ」流のリアル。胸を強調したランジェリーのようなトップスやドレス、アイコンのメタルメッシュを使ったウエアといったクセの強いアイテムに、蚤の市で見つけたようなファーライニングのコートやテーラードジャケット、ウオッシュドジーンズなどをミックスしました。その背景にあるジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)の考えは、“パリのストリート”。マレに住むジュリアンはロックダウン中、近所の通りで個性豊かな女性たちが行き交う姿を眺めることが恋しくなり、彼女たちの自由な着こなしに着目したそう。近くで見るとかなり手の凝ったアイテムも多く、万人受けはしないけれど、エッジの効いたものが好きな層にはがっちりハマる服だと感じます。


 

17:00 半年前にお会いした賢三さんの訃報

 この日は早めに終わったので、アジアスーパーで買い出しをしてホテルに。ちょっと休憩しようと思っていたら、高田賢三さんの訃報が飛び込んできました。正直「ケンゾー」を手掛けられていた頃のことは写真でしか見たことないのですが、4年前にはそごう・西武との協業でコレクションを作られた際にはパリのアトリエでインタビューをしましたし、先シーズンの「ケンゾー」のショーでお会いした時も元気そうだったので、衝撃でした。パリ、そして海外で活躍する日本人デザイナーの先駆けであった賢三さんは、数え切れないほどの勇気や希望を与えてきた存在であり、その功績は計り知れません。ご冥福をお祈りします。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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