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アーティストとコラボの「アクリス」に、期待を裏切らない注目株「ロク」 デジコレでドタバタ対談パリ8日目

 2021年春夏パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も残すところ2日となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも引き続き、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。パリコレ8日目は、海外コレクション取材歴4年の北坂映梨「WWD Japan.com」編集部 ビューティデスクと、皆合友紀子記者がお届けします。

フラットシューズが気になる「ジャンバティスタ ヴァリ」

北坂:オートクチュールデザイナーでもあるジャンバティスタ・ヴァリ(Giambattista Valli)はフェミニンなテイストを得意とする人ですが、今シーズンもリボンのモチーフやフリルディテールなどが満載でガーリーなアイテムを連発していました。フローラルなモチーフも鉄板ですが、今シーズンは花だけでなく葉っぱや植物なども入れ、ボタニカルによったプリントも目立ちましたね。モデルのルックとともに植物の映像も流したりして、“リゾート”や“自然”を連想させました。森の中で発表した「バーバリー(BURBERRY)」然り、今シーズンはネイチャーに思いを馳せたブランドも多い印象です。

皆合:こういう状況で人々の癒されたいという気持ちを汲み取ってなのか、ネイチャーを取り入れたブランドが多く見られますね。ルックは今シーズンもフリルやリボン、スパンコールを使ったガーリー感満載で軽やかなデザインでした。色も白や黒などベーシックカラーに加え、パステル系のグリーンやピンク、オレンジなど柔らかな印象を与えるものが多かったですね。

北坂:見るだけで心が和らぐような優しいパステルカラーや、着やすさを重視したTシャツやリラックスシルエットも今のムードをまさに捉えていて、ポイントだったかと思います。それは足元にも及び、見事にローヒールだらけでしたね。キトゥンヒールからスリッパまで、履きやすいシューズが目立ちました。ラフ・シモンズ(Raf Simons)による「プラダ(PRADA)」もキトゥンヒールがたくさん出てきましたよね……!

皆合:「ディオール(DIOR)」もフラットなサンダルを連発していた記憶。やはりリラックスしたムードが多い今シーズン、足元も無理なく履けるデザインのものが多く打ち出されていますね。

北坂:そしてここ数シーズンはあまりランウエイで見なかったミニスカートやパンツも多かったですね!ミニ丈ボトムスは復活するのでしょうか。そういえば、不況の時は「ミニスカートが売れる」なんて話を聞いたことありますが、アフターコロナでもそういうことは起きるんですかね......。

セーヌ川の上で発表した「アニエスベー」

北坂:「アニエスべー(AGNES B)」はセーヌ川の上に浮かべた船上での発表でした。動画やビジュアルは、アニエスご自身が撮影したそうです。ちょっと天気が悪かったり、川沿いの工事の様子を見せたり、船上のアナウンスもそのまま生かしたり、なんだかリアルな光景でしたね。それはそれでよかったと思いますが。

皆合:マリンや水着のルックもあったので、天候が優れずグレーな空の下での撮影はモデルさん寒そうだな……と少し心配してしまいました(笑)ですが、モデル同士が談話していたり、すれ違う船の人に手を降っていたりと終始リラックスしたムードがコレクションともマッチしていたように思います。

北坂:そして今回はメンズとウィメンズの両方を披露。ボーダー柄のアイテムや定番のカーディガンなど、フレンチカジュアルなスタイルはもちろん、ブラトップや野球のユニホームを連想させるセットアップなど、スポーティーなものもありましたね。いつの時代も愛される定番品が多いイメージですが、今回もまさにそうでした。ジャケットには動きやすそうなドレスもあったりして、ここでも“着心地のよさ”というのを感じましたね。

皆合:メンズモデルが着ていたデニムのローネックのジャンプスーツは、女性でもローヒールと合わせてマニッシュに着こなせそうだなと。白地にリゾートのイラストがワンポイントに描かれたプリーツスカートやパンツなど、遊び心のあるデザインも印象的でした。ペアルックのコーディネートもかわいかった!

独アーティストとコラボした「アクリス」

北坂:アクリス(AKRIS)」はカラフルでグラフィカルなアートを手掛けるドイツのアーティスト、イミ・クネーベル(Imi Knoebel)とコラボしたようですね。パンデミック下はいつも以上にピグメント(色)にインスパイアされたそうで、今シーズンのアイテムには鮮やかなブルーやレッドなど原色が多く登場しました。モダンなキャリアウーマンに愛される、クリーンなイメージが強いブランドでしたので、今シーズンは特に新鮮に写りました。中でも注目は、燐光(暗闇の中で発色する)スーツやセットアップではないでしょうか?

皆合:イミ・クネーベルはシンプルでありながら色彩の美しさと鮮やかさ、パーツの組み合わせが印象的なアーティストですが、デザインに見事にハマっていましたね。まさに着るアート!同じ作品でも立体感を持つとまたイメージが変わり、新たな芸術鑑賞をしている気分になりました。燐光シリーズはインパクトありましたね。目立つので夜も安心です(笑)。暗闇の中で発色するテキスタイルは「アンリアレイジ(ANREALAGE)」でも使用されていましたね。

北坂:あと、さまざまな色のライトを洋服にリズミカルに当てる演出もエネルギッシュで、面白かったですね。

皆合:モデルの動きもユニークで、ライティングの手法など映像そのものがひとつのモダンアートといった印象で、見ていて飽きませんでした。

今シーズンも期待を裏切らなかった「ロク」

北坂:ロク(ROKH)」は数シーズン前から個人的にも注目していたブランド。トレンチコートやシャツなどのトラディッショナルなモノを解体・再構築し、シルエットで遊ぶのがとっても得意!日常的なアイテムをうまく組み合わせたスタイリングもいつも秀悦で、とても可愛いですよね。日本人も好きそうですよね。

皆合:アツイ想いが伝わりました(笑)。シルエットに遊び心を取り入れながらもデイリー使いできるデザインも多いので、確かに日本人受け良さそう。ルックはフリルやパフスリーブ、特大カラー(襟)など女性らしい要素を打ち出しながらも、上からハーネスやチェーンを付けたりと甘辛ミックスなスタイリングが目立ちましたね。そして何より、どこかの惑星のようなセットが気になりました。今シーズンのテーマは“NIGHT WANDERER”だそうです。

北坂:毎シーズン幼少期の思い出をインスピレーション源にしているようですが、今シーズンも子どもの時によくしていた、夜中の散歩が出発点みたいです。冒険心、夜中のスリル、ミステリアスな夜の空気などを表現しているそう。煙の中をモデルが歩く演出で、私も一瞬火星だと思いました(笑)。肝心のアイテムも、レースのカラー(襟)とレザーハーネスなど相反するものの組み合わせは相変わらず多かったですね。そのほかドレスに仕立てたロックなレザージャケット、スタッズをあしらったベルベットドレス、チェーンをつけたコレルセットドレスなど、クールやグランジの中に少し甘さがあるスタイルでした。

皆合:個人的には最近シャツを前より着るようになったので、バリエーション豊富なレースの美しい襟元に目がいきました。ほかには、やっぱりトレンチシリーズ! パフスリーブで裾にスリットを大胆に入れたアイテムが気になりました。テーラリングが美しい〜。

北坂:肩を落としたトレンチコート、スーツジャケットとトレンチをドッキングしたセットアップなど、今シーズンもトレンチアイテムが多かったですね〜。トレンチ好きとしてはテンションが上がりました(笑)。いずれも厚底のミリタリーブーツを合わせていましたね。やっぱり、フラットシューズは大きなトレンドとなりそうです。

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