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「エバーレーン」に学ぶ“徹底した透明性”とは 「時代遅れのビジネスに変革を」

 2011年に誕生したサンフランシスコ発のオンラインSPAブランド「エバーレーン(EVERLANE)」は、“徹底した透明性(Radical Transparency)”を理念に掲げ、倫理的なサプライチェーンの構築を目指す。公式ホームページでは、それぞれの製造工場との出合いに関する背景ストーリーが紹介されているほか、各商品の材料費から人件費、出荷コストに至るまでの製造原価も分かりやすく開示されている。

 今、人種問題や一時解雇などで批判されている同ブランドだが、モノ作りのコンセプトとしては新しく受け入れられ、現在は日本を含む世界38カ国で展開するまでに成長。共同創業者のマイケル・プレイズマン(Michael Preysman)最高経営責任者(CEO)に透明性にこだわる理由をメールで聞いた。

WWD:なぜ透明性にこだわるのか?

マイケル・プレイズマン(Michael Preysman)最高経営責任者(CEO)(以下、プレイズマン):透明性を追求することは信頼を築くことにつながるからだ。私たちは商品の質やモノの真価を伝えるための情報を開示することで、消費者が賢い選択をするための力を与えたいと思っている。製造原価の開示に加え、各工場では、適正な賃金、妥当な労働時間、労働環境などの要素を評価するためのコンプライアンス監査を行なっている。さらに、主要な製品ラインで新たにライフサイクルアセスメント(LCA:製品の“一生”、またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法)を実施して、製造工程における環境への影響も把握しようと努めている。これらの全ての情報によって、私たちは説明責任を果たすことができ、周りの人々と地球を守ることにもつながっていると考えている。

WWD:全ての商品において完全な透明性を実現しているのか?

プレイズマン:パーフェクトではないが、常に倫理的な素材の調達のために何ができるかを考えている。何年もかけて現在の最高の工場とパートナーを見つけたが、毎年、第2次サプライヤーおよび第3次サプライヤーにも追加の監査を行うなどして、原材料から完成品までのサプライチェーンを完全に透明化するための改善を日々行なっている。

WWD:あなたは「エバーレーン」を始めるまでファイナンスの世界に身を置いてきた。異業種でのバックグラウンドによるメリットはあったか?

プレイズマン:ファイナンスの分野に身を置いたのはごくわずかな期間だったが、そこでの経験は今の仕事のための基盤となった。日々店を訪れ、買い物をするなかで、小売業界の時代遅れのビジネスモデルを変革し、何か新しいことを始めるチャンスがあるのではないかと思った。そして私は幸運なことに、「エバーレーン」を成長させるための素晴らしいチームをつくることができた。

WWD:創業以来顧客層に変化はあったか?

プレイズマン:最初の顧客層はニューヨークやサンフランシスコのような米国の主要都市が中心だったが、ここ数年でビジネスがグローバルに拡大し、私たちの商品は多くの人から共感を得られることがわかった。今は1000万人以上のグローバルコミュニティーを持っている。

WWD:今年4月に約290人の従業員を一時解雇したことが報道されたが、それについてのコメントはあるか?

プレイズマン:新型コロナウイルスは世界的に大きな影響を及ぼしていて、「エバーレーン」も例外ではない。3月に店舗を無期限に閉鎖したとき、運営コストを削減するために難しい決断を迫られた。あらゆる面から検討した結果、才能のあるチームメンバーの多くを手放さなければならなかった。私はこんなことが「エバーレーン」で起こるとは想像してもいなかった。二度とこのような措置をとる必要が生まれないことを望む。私たちのビジネスが正常化するにつれ、元チームメンバーを再度迎え入れることを待ち望んでいる。

WWD:今後挑戦したいことは?

プレイズマン:私たちは真に倫理的なサプライチェーンを構築する必要があり、環境を考慮することなくして真に透明であることができないことに気付いた。今、地球が危機に瀕している事実は否定できず、私たち全員に気候変動を止める義務がある。そこで私たちは2021年までにサプライチェーンから全てのバージンプラスチックを取り除くことで、バージンプラスチックへの依存度を減らすことに取り組む。再生ペットボトルから作られたアパレルとアクセサリーのコレクションである“リニュー(RENEW)”を通じて、これまでに650万本のプラスチックボトルをリサイクルした。今年からは、従来使用していたコットンを23年までに全て認定オーガニックコットンに替えることに取り組んでいる。今後も「エバーレーン」は、業界に永続的な影響を及ぼす必要な変化を生み出していきたい。