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デジタルメンズコレでドタバタ対談 4日目は「ロエベ」の超絶技術と「カラー」の回転に目が点

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。4日目は海外コレクション取材歴4年目の大塚千践「WWDジャパン」デスクと、海外コレクション初取材の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者がリポートします。

7月12日(日)17:00(パリ時間10:00) 「オーラリー」

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):さあさあ本日もドタバタ日記スタートしていきたいと思います。連日の登場になりますが、若手の“ファッションバカ”の大澤でございます(笑)。大塚さんよろしくお願いします!一発目は「オーラリー(AURALEE)」。冒頭は空や海などの自然の背景からスタートし、1ルック目は海に合わせたライトブルーカラーのコートに、グレーのスラックスで登場。アイテムは比較的使いやすいパープル、ホワイト、ブラック、グレーなどのカラーリングに、ステンカラーコートやセットアップ、シャツなど同ブランドらしいベーシックなものが引き続き多い印象です。後半に登場する自然を使用しての撮影は良かったんですが、中盤のモデルが集合したシーンも合わせたら良かったのに……とは思いました(笑)。「ニューバランス(NEW BALANCE)」のコラボスニーカーもルックで使用していましたね。やはり尺的にはこの動画のような約4分がベストなんですかね?大塚さん、いかがでしょう?

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):「さあさあ」ってなんでうちの20代は八百屋みたいな感じなの(笑)。まあ元気がよくていいですけど。映像はちょうどよくて、なんだか服そのものというより、岩井良太デザイナーがこだわり続けている“空気感”とブランドの武器である“素材感”の2つを伝えたいのかなと思った。だから画質もびっくりするぐらい鮮明だったし、モデルの顔の寄りや風景とかも多用してムードを演出したんじゃないかな。集合カットでもモデルの表情にフォーカスしていたよね。「ニューバランス」コラボはおもいっきりアイテム推しだったけど(笑)。

大塚:実は昨日ブランドから連絡があって、今日自宅にエレメントを届けてくれたんですよ。それがさ「デカ!重っ!すごっ!」の3段階で驚くほど豪華で。中原崇志さんがデザインした木製の箱の中に、現代美術作家の玉山拓郎さんのアートピースや、コレクションで使った大量の生地見本、さらに糸やスタッフの写真まで入っていてビックリしたよ。自宅で上手く撮影できないから、急きょ家の外まで持ち出してロケ撮影しましたよ。「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「ロエベ(LOEWE)」も事前にエレメントを送ってくれたけれど、遜色ないどころか、それ以上だった。これぐらい本気のキットだったら、映像では世界観を伝えて、キットでそのイメージを手に取って想像させるという新しいコミュニケーションが可能かもっていう期待感を持ちました。ただキットがめちゃくちゃ費用がかかってそうなだけに、海外にも届いているのかが気になった。でも、「オーラリー」らしい素直な表現で僕は好きだったな。

大澤:わ!これはすごい!こういう細かい配慮が素晴らしいですね。僕も手元に欲しかった……。どのくらいの費用でどれだけの人に配っているのかも想像させられます。

7月12日(日)17:30(パリ時間10:30) 「アルトゥール アヴェラーノ」

大澤:次の「アルトゥール アヴェラーノ(ARTHUR AVELLANO)」は、知らないブランドですが、凄くエッチな感じ。洋服のデザインは背景の植物からインスピレーションを得ているのかな?正直、仕事をそっちのけてという訳ではないですけど、服に目が行かない(笑)。ドラマのラブシーンを見ているかのようでした。

大塚:“余白”のある映像表現だった「オーラリー」に対して、「アルトゥール アヴェラーノ」はドロドロ全開。24歳の大澤さんは知らないと思うけど、1990年代の不倫もののドラマのオープニング映像っぽかった(笑)。それに気づいてしまってから、中身が全く入ってこなくなっちゃった(笑)。アンダーウエアが多いのかなと思考がようやく取材モードになった途端にパンツ脱ぎだしたり、しまいには全裸になったり、ブランドを知らない人がこの映像見たら「こっち系か」というイメージが付いちゃうと思うんだけど。もう、笑点見ればよかった。

7月12日(日)18:00(パリ時間11:00) 「ナマチェコ」

大塚:気を取り直しまして、次の「ナマチェコ(NAMACHEKO)」は、アートの感覚を取り入れたブランドらしい映像だったね。モノクロということもあって、ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)の作品を想起させられた。好き嫌いは分かれそうだけど、これも服を主張するというより、ブランド自体の世界観を発信して視聴者とコミュニケーションしたいという意図を感じたな。「ナマチェコ」はそもそも映像からスタートしたブランドで、ムービー用の衣装を作ったらそれがバイヤーの目にとまってファッションブランドになった経緯があるから、こだわりは強そう。

大澤:映像からスタートしたブランドなんですね。それは知らなかったです。早速メモ(笑)。始まりはムービー用の衣装からというのが今っぽくて、ヴァージル・アブローの「パイレックス・ビジョン(PYREX VISION)」を思い出しました。モノクロで、アートを前面に出した「ナマチェコ」らしい映像が個人的に好きでした。モデルを黒人と白人にしているのもモノクロに合わせてなのかな。余談ですが、ロバート・メイプルソープといえば「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」のコレクションを思い出します。今回のパリ・コレクションには登場しないのが残念です(泣)。

7月12日(日)19:00(パリ時間12:00) 「ロエベ」

大塚:「ナマチェコ」のクリエイションにはどこか「ラフ・シモンズ」っぽさも感じるから、大澤さんが好きだと思った(笑)。次は「ロエベ(LOEWE)」です。先日編集部に巨大なキットが届いて盛り上がったんだけど、さらに今日は21年春夏コレクションに関するインタビューや音楽などのカルチャーコンテンツが1日限定で公式サイトやインスタグラムで順次公開するという発表方法。さすがに見逃すわけにはいかないからさ、われわれ泣かせ?ありがたい?発表方法だよ(笑)。サイトで発表された動画はクリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のインタビューだったね。

大澤:常に画面とニラメッコしておかなければいけませんね(笑)。4ルック目のバスケットは「どうやって着るんだろう?」「モデルが着ているのを見てみたかった」と、思いました。こういうメゾンならではのクリエイションもファッションの醍醐味ですね!インタビュー形式は今回初めて見ましたが、シンプルに豪華なキットを見ながら、ジョナサンのインタビューを聞くというのも良いですね。

大塚:バスケットはクラフト感がさく裂していてすごかったねー!動画だから、巻き戻して本気の二度見した。でも最近のジョナサンのクリエイション、すごく好き。全てにおいてバランスがいいんだよね。難解じゃないけど、簡単でもない感じというか。1日配信コンテンツにミュージシャンのカインドネス(Kindness)呼んじゃう辺りとかさ。服は正直リアルではなくアートに近いのだけど、かといって押し付けがましさもない。ちゃんと着られる作品になっていて、かつ意思も込められている。シンプルとは別軸のタイムレスなコレクションで、職人たちの技術をリスペクトしながら一点一点大切に作っているんだろうなと伝わってきたよ。20-21年秋冬のメンズワンピースもすごかったけど、今回もメンズとかウィメンズみたいな差は、彼の中ではさらになくなりつつあって、ネクストレベルに進んでいる雰囲気をあらためて感じたなあ。バスケットもいいけど(笑)、自分で身につけるならタイダイのトップスかスカートにもなりそうな巨大バッグかな。

大澤:僕も何回も一時停止と巻き戻しの繰り返しをして見入ってしまいました。カインドネスを呼んだんですね、すごい(笑)。新型コロナで業界が大打撃を受ける中、今後の在り方について、いちはやく声明を発表していた姿も尊敬します。動画内でアイテム一点一点を丁寧に説明している辺りは、「洋服に対しての思い入れが強いんだろうな」と、僕も感じました。あの巨大バッグですか!是非ともオーダーして、実物を見せてください(笑)。

7月12日(日)20:00(パリ時間13:00) 「ファセッタズム」

大塚:考えるのが楽しい「ロエベ」に対して、「ファセッタズム(FACETASM)」は単純明快。服もハイブリッドだし、映像もハイブリッド。いろいろなカルチャーがミックスする東京の街を体現するブランドの一つだから、その辺にこだわったんだろうね。服はストリートだけどロケ地はリゾートっぽい場所とか、きれいな映像がゆ〜っくり流れたと思ったらザラついたカットやナマっぽい写真がシャっと駆け抜けていく編集とか。あと全体的にスピード感がめちゃくちゃ速いんだけど、どのブランドもコラボとか推しアイテムはしっかり映すんだなというのが段々わかってきた(笑)。「ファセッタズム」の場合はスニーカー。落合さんの4歳の息子が描いたイラストにもほっこりしました。

大澤:都会のさまざまな場所を捉えた映像で楽しく拝見しました。プールに、ビルの屋上、森林生い茂る道、地下の駐車場。どれも「これ、どこだろう」と考えつつも、名古屋の田舎モンの僕は全然分からず、わかったのは東京タワーのみでした(笑)。アップテンポの曲調も、若手とベテランのモデルを起用しているのも素敵でした。あのイラストは落合さんの息子さんが描いていたんですね!個人的に他にないようなイラストが好きなので、白のデニムのセットアップ欲しいなあと思いながら見ていました。息子さんの絵とは、おったまげ(笑)。4歳にして、センスありすぎでしょ〜。

大塚:おったまげってさ、なんか古くね(笑)?最近の「ファセッタズム」のコレクションからは人への愛情を感じるし、新型コロナの影響で家族と一緒に過ごす時間が多くなって、その辺が視点が表現されているのかもね。

7月12日(日)21:00(パリ時間14:00) 「アレド マルティネス」

大塚:さあ、そんな和やかムードから一転して「アレド マルティネス(ALLED - MARTINEZ)」から面倒臭そうなムービーがきました(笑)。大澤さん、解説をどうぞ!

大澤:突然の振り(笑)。存じ上げないブランドですが、何やら長閑な場所で撮影していますね。ファーストルックは、シースルーのタンクトップにベージュの光沢感のあるパンツで登場。その後は、カジュアルなTシャツにウオッシュ加工のデニムパンツなどを紹介しています。が、突然!冒頭で着ていたタンクトップを脱いだり、パンツを脱いで白のブリーフ(今どき、これ履いている人は恐らくいないでしょう)姿になったり。え、どうしたんですか(笑)?何かのストーリーがあるのかと思うのですが、全く何も分からず。モデルでもこの絵面は結構しんどい。この手の動画は、今回のコレクションで何度も目にしてきましたが本日も登場しましたね。アイテムも普通すぎて尖りもない。これは問題作……(怒)。

大塚:悪い意味でロンドンっぽいよね。ただ、経歴を見たら超王道。デビューは1年前で、18年にはピーター・ドゥ(Peter Do)も優勝した「LVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)」に選ばれているし、19年からは「ジバンシィ(GIVENCHY)」で働いているというLVMH期待の星みたい。きっとテーラリングが評価されているのかなと思うけど、ヨレヨレの白いブリーフしか印象に残りませんでした。スミマセン。

7月12日(日)22:00(パリ時間15:00) 「カラー」

大澤:えっ!そうなんですね。僕はてっきり、あの白いブリーフで、おじ様ブランドを想像していました(笑)。そんな物語の後は、日本のベテランブランドの「カラー(KOLOR)」です。7分ほどの動画ですが、正直すごく目が回りました。久々に小さい時に乗ったコーヒーカップを思い出しました(笑)。同ブランドらしいドッキングされたジャケットやブルゾン、コートをさらにアップデートしている印象を受けました。そのほか、「コカ・コーラ(COCA-COLA)」のロゴのオマージュで、 “CONCLEAT”とプリントされているTシャツや、さまざまな素材を切り貼りしたスニーカーのハイカットも目につきました。個人的には、レッドのブルゾンにクリアのナイロンをドッキングしたアウターと、光沢感のあるタマムシカラーのセットアップが良きでした!スマホとPCの両方で見たのですが、モデルが横を向いているので画角の部分は少し残念に感じました……。同じ絵面でも、ポップコーンや猫、スーパーボールを使用してのユーモアさを入れているあたりは良かったです。数年前までは、シックなものが多く若者の間で着ている人は少ない印象でしたが、ここ数年、本当に僕ら若者に刺さるクリエイションをしていて、毎回欲しい服がありすぎて困っています(笑)。

大塚:あれ“CONCLEAT”って描いていたんだ!コーヒーカップというより、「ゼロ・グラビティ」の高速回転思い出した(笑)。それにしても阿部潤一デザイナーのクリエイションの振り切り方は最近特にすごいよね。デザイナーズブランドの服ってデザイナー個人を投影するから、「カラー」みたいな一定の固定ファンを抱えていると普通は年齢とともに落ち着きそうなものだけど、阿部さんの場合はむしろギアを上げてぶっ飛ばしているところがかっこいい。感覚はユース感バリバリなのに、技術はめちゃくちゃ高いから、若手は普通に立ち向かっていっても敵わなそう。ブランドを取り巻く人やカルチャーも常に今っぽいよね。グルグル見ながら一番欲しかったのは、背中がニットになったグリーンのジャケット。でも展示会で試着したらほぼ買っちゃうから、本当に気をつけないと半年後にオーダーしすぎて泣くんですよ。

7月12日(日)22:30(パリ時間15:30) 「ヨシオ クボ」

大澤:阿部さん、さすがでございますね!「ご利用は計画的に」ですよ。計画できないから困るんですけど(笑)さあ日本のブランドが続いていくますよ〜次は「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」です。本日初めてのショー形式での発表でしたね。やっぱりショーはいいなあ〜と思いながら約6分の動画に見入ってしまいました。音楽、会場、クリエイションどれも「我らが、日本」。「『ヨシオクボ』ここにあり」。という感じで、統一感やコンセプトが明確に伝わり、とてもかっこよかったです!甚平や首から提げているお守り、足袋ソックス、笠など、国の伝統的なものを落とし込んでいるところから、新型コロナで苦しい状況が続いた中で、「日本の素晴らしさ・伝統を世界の人に改めて伝えよう」という久保さんの強いメッセージを勝手に受け取りました(笑)。

大塚:世界の舞台でショーを行ううちに、海外で戦うためには結局のところオリジナリティーが大事だ、という考えに行き着いて前シーズンから「和」の表現につながっているんだって。「和」をテーマにしたコレクションなんてそれこそ山ほどあるけれど、外国人の表現する押し付けがましいのが「めっちゃ嫌い」とも久保さんは言っていた(笑)。だから今シーズンはそのルーツをさらに掘り下げて、能楽堂を舞台にしてしまう潔さがよかった。柄やプリントを控えめにして、ジャケットの合わせ位置やカッティングでにじませる日本らしさがよかったね。ショールカラーとピークドラペルが合体した和タキシードを展示会で着てみよーっと。

7月12日(日)23:00(パリ時間16:00) 「ヘンリック・ヴィブスコフ」

大塚:「ヘンリック・ヴィブスコフ(HENRIK VIBSKOV)」はいつも奇抜な演出のショーだから、正直、動画だとさらに変なやつがくるんだろうと思っていた(笑)。でも、めっちゃマジメでした。そもそもこの人は本当に知的で「誰も僕に普通のコレクション求めてないでしょ?」ってインタビューしたときに言っていたぐらい自覚している、スマートな性格なんだよね。だから本人がショーの舞台に登場して丁寧に解説をする演出はより共感と理解を深めそうで成功だったんじゃないかと。でもこのマジメモードで終わるのかと思ったら、やっぱりそうじゃなかった(笑)複数の巨大ロッキングチェアを人力で揺らしている浮世離れした状況でも淡々と解説を続けていて、DVD特典の“監督による音声解説”みたいだった。

大澤:同ブランドは、名前を聞いたことがある程度でしたので、冒頭は真面目な方で「ロエベ」のようにインタビュー形式なのかなと思っていました。そしたら、あの巨大ロッキングチェアを人力で動かしているんですよ、本当にびっくりしました。思わずコメディー映画のエンディングシーンかと。あれだけ盛大にセットをそろえての撮影は、今回が初めてかもしれませんね。他ブランドと違い、メイクシーンを映しているのが印象的でした。黒い粉のようなものって何だったんだろう…。あのアップと、人柄からして普通のものではなさそう(笑)。もしかしたら、奇抜な演出のショーをする人ほど真面目なのかもしれませんね。ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)しかり。

7月12日(日)24:00(パリ時間17:00) 「キッドスーパー ストゥディオス」

大塚:SNSで今回のデジタル・ファッション・ウイークを見ている人やファッション業界の人に話を聞いていると、やっぱり「服がちゃんと見えないと意味ないじゃん」っていう意見が圧倒的。その点、ちゃんと服を見せていたヘンリック先生とウォルター先生が好印象なのかも。後者はフィギュアだったけどね。で、全部人形でファッションをやっちゃったのが「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。日曜の深夜に一体何を見ているんだって一瞬くじけそうになったけど、カメラワークが全部本物みたいで、さらに登場するモデルがレジェンドばかりだということに気づいたら段々面白くなってきた。ペレ(Pele)とモハメド・アリ(Muhammad Ali)の服がめちゃめちゃかわいかった。

大澤:これはまた奇抜なのが来ましたね。「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。人形たちの大行進です(笑)。映像から推測して、かなり小さい人形だし、作るのめちゃくちゃ大変そう。とそこばかりが気になりました。最後のルックの花が集合したドレスとか特に。「実際の洋服で作ったらどんなのになっていたんだろう?」と想像が膨らみます。人をテーマにしたコレクションで、女性・男性の顔や、シルエット、パーツがトップス、アウター、パンツの至る所に散りばめられていました。そのほか、生地を切り貼りしたヴィンテージ調のセットアップ、ペインティングパンツなど総じて派手です。日本人が着こなすのは中々難しそうですね(笑)。

大塚:あの……いよいよ深夜帯に突入したので景気付けにコンビニでほろ酔いを買ってきたのですが、お酒弱いことを忘れて1缶でほろ酔いどころかマジ酔いしてしまいまして。「ガムト(GAMUT)」と「ルード(RHUDE)」は、お任してよいですか?「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」までちょっと横になってきます。

7月12日(日)24:30(パリ時間17:30) 「ガムト」

大澤:え、ペレとモハメド・アリいました⁉︎。全然気づかなかったです。世代ではないんですけど……。いや景気付けって、酒に負けていたら逆効果じゃないですか。「ホワイトマウンテニアリング」までと言いつつ、帰ってこない気が(笑)。いえ、大丈夫です。僕が責任を持ってリポートします!それでは気を取り直して「ガムト」行ってみましょう!存じ上げないブランドでしたが、19年春夏コレクションからパリで発表を続ける仏発の気鋭ブランド。公式インスタグラムのフォロワーは約3800人という未知数なブランドだが、独特なメイクと装いで独創的な世界観を表現しています。アイテムは、単体で見ると比較的日常で着やすそうなものが多数存在している印象。冒頭で男性(⁉︎)が女装した姿で、上半身を網タイツに包んだスーツスタイルでおっぱいに見立てた風船(⁉︎)を胸に付けて登場し、さまざまなポージングをお取りになっていました(笑)。でも若手でみなさんが知らないブランドにとって重要なのは、インパクトを残せるかどうかだと思うので、その点は尖っていて良かったです。“ファッションバカ”としては、人と被らないブランドを見つけて「それどこのブランド?」と聞かれるのも好物なので、今後注目していきたいと思います。

7月12日(日)1:00(パリ時間18:00) 「ルード」

大澤:おっと次の「ルード」は少しだけお金持ちになった気分になりました。同ブランドは13年に米・LAで誕生。フィリピン出身のルイージ・マーク・ビラセナー(RHUIGI MARK VILLASENOR)が手掛けるストリートブランドです。一戸建ての家の中や、その周りの広い庭、プール、生い茂る森林での撮影で、細身のスエットパンツやロゴパッチを使用したMA-1、Tシャツなどをいつも通りの提案。今回も変わらずじまいだったのが残念でした。「ルード」好きはいいかもしれないですが、この手のブランドはジェリー・ロレンゾ手掛ける「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」がチラつきます。ラグジュアリーストリートは今、まさに転換期を迎えていると思うので一捻り欲しかったのが正直なところ。あ、サングラスを推したいのはとても伝わりましたよ(笑)。

7月12日(日)2:00(パリ時間19:00) 「ホワイトマウンテニアリング」

大澤:現在日本時間2時。大塚さん!「ホワイトマウンテニアリング」始まりましたね。同ブランドは今回、メディアアート集団のライゾマティクス(RHIZOMATIKS)の真鍋大度さんによる演出でファッションとテクノロジーを融合して制作しました。漆黒の背景に、冒頭は全身ブラックのスポーティーなスーツスタイルで登場し、足元には夏らしい通気性の良い素足で履けるブラックとグレーのカラーリングのスニーカーを合わせたスタイルでスタート。そのほかは同ブランドらしいアウトドア向けのデザインを中心に、ジャケットやパーカ、スエット、リラックスパンツなどを提案。時折入る同じルックを3体に増やし、違う方向から見せる演出などが他との差別化を図りSF映画を見ているようでした(笑)。

大塚:ガチ酔いからギリギリ帰ってきた!あぶねー。深夜2時にアラーム入れたわ。映像はヘッドホンを着けた方がいいよと表示されたからその通りにしたけど、音楽も含め硬派な感じでかっこよかったな。ブランドを知らない人が見ても機能服なんだなというのが伝わったと思うし、宙に散りばめられたパターンが合体してリアルな服になるっていうライゾマティクスらしいテクニカルな映像も相性バッチリだった。これまでを振り返ると、日本人デザイナーのほとんどが、映像の表現こそ違えど服をちゃんと見せようとしているよね。なんだかんだ言って、みんなマジメ。突拍子が無いものは出てこなくて安定感があるし、僕自身も服がしっかり見える映像だと安心する。でも、印象に残った映像は?と聞かれてパッと浮かぶのは海外ブランド。だから破天荒な表現に慣れた海外の人に日本人の硬派な映像がどう伝わってるんだろうと気になってきちゃった。調べよーっと。

7月12日(日)3:00(パリ時間20:00) 「エルメス」

大澤:本日最後でございます。正直、体力的に疲れました(笑)。「エルメス(HERMES)」は先日、一足先に公開されましたが大塚さんいかがでしたか?舞台はパリ北部にある同ブランドのアトリエで撮影され、僕は「これが『エルメス』のアトリエかあ」「こんなカッコ良いオフィスで仕事してみたいなあ」。な〜んて口をポカンと開けながら子どもみたいに視聴しました(笑)。やはりビッグメゾンは違うと感じたのが、高級で薄い生地感。ジャケットやシャツのシルエット、冒頭のライトブルーのストライプのスーツ(特にテーパードパンツのシルエットが綺麗すぎます)など、たまりませんねえ(泣)。凝ったデザインがタイプの僕でも、一度は袖を通してみたいものです……。

大塚:もう3時だよ。明日普通に仕事なんですけど(笑)。「エルメス」は先行して公開されていたから何回も見たけれど、全てにおいて完成度高すぎてまだまだ見れちゃう。これを初公開時は生中継していたって衝撃じゃない?それに24歳の大澤さん世代に「たまらない」と思わせたということは、ブランド的には大成功だったのではないかな。映像を人に見てもらうためには、エンタメ要素のユーモアって必要だなと感じた次第でございました。ちなみに今日イチって何だった?俺は「エルメス」だけど、もう何度も推しているから今日は「カラー」のパンクなグルグルに一票(笑)。

大澤:「カラー」めちゃめちゃ良かったですね〜今からお金の計算をしなきゃ(笑)。僕は「ファセッタズム」に一票。あのイラストを4歳の息子が描いていたという衝撃が頭から離れません!自粛期間で家族との生活が増えたというほっこりさも含めて。本日もお疲れ様でした〜!明日がパリ最終日ですね。どんな映像が届くのか楽しみです。