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「フミエ タナカ」のルック撮影に密着 中止になったショーで表現したかった「ザ・ダラス」からの進化

 田中文江によるファッションブランド「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」の中止を受けて、2020-21年秋冬コレクションの発表形式をルックブック撮影に切り替えた。東京都内の洋館ハウススタジオを舞台に、シーズンの世界観を強く表現するイメージと、着こなしを見せるコーディネートのルックを撮影した。


 今季は「東京ファッションアワード」受賞による支援を受けて、ブランド名を「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から改名して初のファッションショーになる予定だった。田中デザイナーは「ブランドの変化を動きがある形で見せたかった」と切り出し、「ただ人が服を着て歩くだけではなく、新しい見せ方をぎりぎりまで考えていた。『ザ・ダラス』のときよりも日常的でリアルに着られるものをコーディネートで見せて、メンズアイテムを新たに加えてより深みを増した表現ができると思っていた」と明かした。

未来につなぐビンテージの要素

 20-21年秋冬のテーマは「チェーン オブ ルック」。昔と今をつなげたいという思いから1960~80年代の古着が着想源になっている。「自分の作った服を将来に残していくためには、自分らしいデザインと、昔からあるものを継承することだと考えた。もともとビンテージが好きということもあるが、父が着ていたようなジャケットや母が着けていたようなパールアクセサリー、昔着ていた制服のプリーツスカートなど、レトロで懐かしい感覚をもう一度振り返って取り入れている」と語る。単品で見ると本物の古着のようなアイテムも多いが、絶妙なシルエットや色の変化で斬新さを見せている。またアクセサリーも充実させ、レザーの飾りが付いたヘアゴムやパールのネックレス、骨董市で出合ったパーツから形をとったピアスなどさまざまだ。付け襟としても使用できるリボンのヘアピンは、イタリアで見かけたリボンで髪を結っていた、女性からインスパイアされたという。


 撮影ではスタイリストを起用せずに、田中デザイナーが自らスタイリングしている。より“リアルに着られる”提案のためにブラックとホワイトを多く取り入れた。「オールブラックやオールホワイト、ヌードのようなベージュを入れて正統派できれいに着るのがポイント。昔の人が着ていたようにシャツを上までちゃんと閉じて、ジャケットもかっちりきっちり着る。そこに色や柄合わせにポイントを置いた」と田中デザイナー。

初のメンズはシャツ中心の15型のコレクション

 モデルを起用しての撮影は行っていないが、ブランド初のメンズのカプセルコレクションも今季初披露している。今年1月にはイタリアのメンズファッション見本市の「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」や、パリ・メンズ・ファッション・ウイーク期間中に現地での合同展でも発表していた。和紙を使ったものや、特殊なプリント加工でマーブルを描いたデザインなど、日本の加工技術を生かしたシャツを中心に15型で構成した。「メード・イン・ジャパンを深掘りして、日本に眠っている細かい作業や手法を使っている。狙い通り、海外では服を触られることが多く『どう作っているの?』とよく聞かれた」という。メンズのアイテムは黒いタグが目印で、今後少しずつ育てていく考えだ。「私がオシャレだと思う男性像は、シーズンによってスタイルを変えずに自分のスタイルを持っていて、信頼のあるブランドを買い続けている人。ウィメンズのようにシーズンテーマを設けて、毎シーズンガラリと変えていくのは違うかなと感じている。私がメンズウエアを着ることもあるので、ユニセックスで着られることも前提として考えている」と語った。