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“巣ごもり”で「無印良品」の食品、掃除用品はヒット 専門店3月度は「東日本大震災時を超える」落ち込み

 専門店チェーン、セレクトショップの2020年3月期の売上高(既存店ベース)は、新型コロナウイルスの感染拡大により、前年同月に比べ各社25~30%前後のマイナスとなっている。営業時間短縮や週末の臨時休業で大きく売り上げを落とした。期待されているECも、実店舗の落ち込みを補うほどにはなっていない。ファッション消費が大苦戦の一方で、食品や生活雑貨も扱う店では、“巣ごもり”に対応した売れ筋アイテムも浮上している。

 「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店売上高は前年同月比15.3%減。これは食品が同20.6%増とけん引した結果で、衣服・雑貨カテゴリーは同29.6%減だった。「“巣ごもり”消費でカレーを中心にしたレトルト商品や冷凍食品が売れた」と広報担当者。また、「この期間に家の片づけをするお客さまが多いためか、収納用品や掃除道具が生活雑貨でも売れている。衛生用品のニーズも高く、マスクは在庫切れ、除菌ティッシュも人気」だ。EC売上高は「特筆して伸びているといったことはない」。

 ユナイテッドアローズの小売りとECの既存店売上高は同24.2%減だった。「データが残る中で過去に大きく売り上げを落としたのは11年3月の東日本大震災直後。当時の既存店売上高は同17%減前後だった」(広報担当者)ことから、今回の落ち込みは震災直後や08年のリーマンショックを超えている。EC既存店売上高は同23.9%増ではあったものの、同社のEC既存店売上高は19年4月~20年3月の通期でも前期比20.2%増のため、“巣ごもり”でECが好調といったことはない。

 婦人服専門店チェーン「ハニーズ」を運営するハニーズホールディングスの既存店売上高は前年同月比28.9%減。「事態の先行きが見えない中で、お客さまの消費意欲自体が減退している。19年10月の消費増税以来ずっと財布のヒモは固いまま」と広報担当者。EC売り上げも「同50%増の水準ではあるが、それはここ1年の標準であり特段今月が伸びたわけではない」。

 「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は同12.1%減。同社は20日締めで、事態がより悪化した月末の数字が入っていないことから他社よりも落ち込みは小さい。卒業式や入学式が中止になった影響で「ウィメンズのフォーマルウエアが苦戦、レジャーシーン向け商品も不調だった」と鈴木誠しまむら社長。一方で、「ベビー用品や新入学の女児・男児向け商品は比較的堅調だった」。

 各社、出店先のショッピングセンター、ファッションビルの方針に従い、営業時間短縮や週末の臨時休業を実施している。「3月最終週は都内店舗のほとんど(70~80店前後)で臨時休業した。営業時間短縮は2月下旬から、ほぼ全国の店舗で行っている」(ユナイテッドアローズ)といった状況だ。

※アダストリアは3月の月次を、20年2月期決算発表(4月3日)と同時に、ユニクロは20年8月期上期の決算発表(9日)と同時に発表する予定。

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