
4月に亡くなった漫画家・東海林さだおさんは、食べ物エッセイの名手でした。人間ドックの長時間の飲まず食わずから解放されたときの感情を、次のように書いています。
ムショ帰りならぬ、ドック帰りの身分でもあったのだ。「もう、何をしてもいいんだ」という心境になった。ふだんは、コレステロールとか、中性脂肪とか、ダイエットとかを心がけている男なのだが、そのときは違った。「もう、何を食ってもいいんだ」という凶暴な気持ちになった。(文春文庫「トンカツの丸かじり」収録の「ドックあがりのトンカツ」)
文章が書かれたのは1989年。描かれている心境は、2026年にフード業界で話題になっている「ギルティ消費」そのものです。
ギルティ(guilty)は「有罪」の意味。健康のために控えるべきだと罪悪感を持ちながら、大盛りや高カロリーの食事を楽しむ行為を指します。ギルティ消費、背徳グルメといった言葉は数年前から使われていますが、3月に発売された濃厚な甘味の清涼飲料「ギルティ炭酸ノープ」(サントリー)のヒットで脚光を浴びました。コンビニでもギルティ消費をコンセプトにした弁当やスイーツをよく見かけます。飲食店でも大盛りメニューが人気のようです。
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