「アジサーキュラーパーク」は、地元高松の繊維商社である中商事が2022年11月に本社兼工場の一角にオープンした。高松市の中心エリアから車で30分ほどの距離の庵治地区にある、その名の通り「循環」をテーマにした体験型のセレクトショップだ。土日及び祝日の月曜のみ営業し、古着やテキスタイル、リメイク古着のほか、ワークショップやマルシェ、古着交換などの多彩な体験を提供している。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月23日号からの抜粋です)
AJI CIRCULAR PARK(アジサーキュラーパーク)
住所:香川県高松市庵治町丸山6391-19*営業日は土日の10〜16時 創業:2022年11月 店舗面積:330㎡ 沿革:運営元の中商事は1923年創業。地場のブティックへの衣料卸や布団製造、ニット製造などを行っていたが、2014年に構造改革に着手。19年に現在の高松市庵治町に本社を移転し、本社兼工場に改築。22年11月、本社兼工場の一角に「アジサーキュラーパーク」をオープン 主な取り扱いブランド:「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」「ブリング(BRING)」、古着、リメイク古着、AJI PROJECT、Roci、Rie Glass Garden、咲く屋、poRiff、mana.ORGANIC LIVINGなど

中貴史/中商事社長
高松に生まれた先鋭的な「循環セレクト」
世界に開かれた「地産地消」も目指す
中商事はもともと高松市を拠点に布団製造やニット製造、中四国地域の衣料卸などを行っていた。3代目となる中貴文社長が14年に社長に就任すると、大掛かりな事業再編に着手。19年には庵治地区にあった布団工場を改築し、本社とニット工場を移転。22年11月に「アジサーキュラーパーク」をオープンした。一つの建物にオフィスと工場、店舗が同居するユニークな本社にした理由について中社長は、「創業100年を起点に、次の100年を考えた際にやるべきことは『循環』がカギになると考えた。無理・無駄をできるだけ省き、かつ地産地消、そして文字通りサステナブル(持続可能)であることを目指した結果だった」という。リノベーションは、高松出身でみかんぐみを経て独立した設計事務所岡昇平が手掛けた。
「アジサーキュラーパーク」のコンセプトは、「つどう、つながる、めぐる。」。本業である衣料卸やニット生産などで出るテキスタイルの端材や副資材、社員や地域から集めた古着のほか、庵治地区のユニークな地場産プロダクトなども扱う。庵治地区は、隣接し石製の彫刻で知られる「イサム・ノグチ庭園美術館」のある牟礼地区とともに日本屈指の石材加工産地で、石を使ったユニークなプロダクトで世界的に知られる「AJI PROJECT」も扱っている。同ブランドの石製のスツールは数トンの重さがあるため運搬用パレットの上に置いてある。店舗は出入り口が大きく、運搬用の大型トラックもじか付けできる。もともと工場だった同店舗だからこそ扱えるアイテムだ。
現在は、週に数十組ほどが訪れる。リピーターはその中で1〜2割ほど。地元の高松に加え、周辺の市や県外からの来場者も増えてきた。今後は「『庵治』という地域ならではのエッジを立たせつつ、海外からの訪日客を通して世界にも発信する」。
EDITOR'S NOTE
港町なので人も発想も柔軟で魅力的
瀬戸内海に接する高松は、その住みやすさから移住者も増えているという。港のすぐそばに位置する高松駅から南に伸びる高松丸亀町商店街は、今も賑わいがある。坂の少ないコンパクトな街は住みやすい。移住者が増えているのも納得だ。また、2027年夏にはマンダリンオリエンタルの開業で、観光地としての知名度も海外を中心にぐっと高まり、訪日客も大幅に増加する。これまで地元が中心だった物販も、国内外の観光客が増え、ビジネスチャンスが広がる。豊富な知識と情熱に裏付けられた濃い接客にファンが多い「サーカス(CIRCUS)」(こちらの記事参照)や、地場の特産品の掘り出し物が多い「まちのシューレ(MACHI NO SCHULE 963)」(こちらの記事参照)は、観光客と相性がよく、新たな顧客層の開拓になりそうだ。(横山泰明 編集部記者)