牛乳をこぼした、洗濯機の後ろに靴下が落ちた、トイレの紙がない――。子供が日常で直面するピンチをユーモラスに描いた鈴木のりたけさんの絵本「大ピンチずかん」(小学館)は、シリーズ累計270万部を超えるベストセラーです。2025年に最も売れた書籍も4月発売の「大ピンチずかん3」でした。
出版流通の日販のリポートでは「ピンチを通じて子供が自分の失敗や感情を受け入れるきっかけを作る作品として、子供から大人まで多くの共感を集め」たと評しています。「自分の失敗や感情を受け入れるきっかけ」というのがポイントですね。
失敗から学ぶ。大人向けの本では一大ジャンルとして確立されています。
1984年に出版された「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(戸部良一ほか著、中公文庫)は、先の戦争で日本軍が負けた理由を学術的に解き明かした名著として読み継がれてきました。経済誌「日経ビジネス」の名物連載「敗軍の将、兵を語る」は、経営破綻や不祥事の当事者がなぜ失敗してしまったのか赤裸々に語り、読む人の胸に迫ります。そのほか、書店のビジネス書の棚には、企業の失敗の背景を詳しくリポートした本がたくさん並んでいます。失敗や危機の深刻さはだいぶ違いますが、「大ピンチずかん」はこれらの子供版と言えなくもない(気がします)。
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