毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月28日号からの抜粋です。)
村上:2026年春夏メンズコレのトレンドまとめ号です。大きいテーマは、酷暑対策。今や欧州も高温多湿です。ゲリラ豪雨もありましたよね。そんな気候に対応すべく軽い素材はますます軽く、コットンやサマーウールなどの定番に加えて、アロエコーティングして滑りを良くしたリネンなど、技術革新による薄くて涼しげな素材からトレンドが広がっています。
本橋:アウターでも薄くて風をはらむナイロンのようなものが多かったですね。トップスの主役は、シャツ。シルエットと丈感をアップデートしたり、2枚重ねて自由なスタイリングを表現したりが目立ちます。
村上:スタイリングで「価値観」や「生き方」「アティチュード」を醸し出すべく、モデル選びや演技指導にも心血を注ぐブランドも増えている印象ですね。昔はもっと主張の強いアイテムが飛び出ていて、長くメンズを取材している人の中には現在を「ツマラナイ」と捉える人もいるようですが、それを否定しちゃうと今の潮流や価値観についていけなくなっちゃいそう。ジョナサン・アンダーソン(JONATHAN ANDERSON)の「ディオール(DIOR)」でも感じましたが、毎日着られるアイテム“ステイプル”を時流に合わせてアップデートしているブランドが良く見えて、「なんで、こういうブランドが増えていて、人気なんだろう?」を改めて考える契機になりました。
本橋:「ルメール(LEMAIRE)」も同じような素材使いで安心感を提供しつつ、少しずつ進化しています。それをどう着こなすか。スタイリングは着る人に委ねている自由さがあって、理にかなっていると感じました。
インティメイトなアイテムに注目
村上:今週号の表紙に採用した「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のパジャマスタイルも注目です。パジャマも含むインティメイト、下着由来のアイテムをコーディネイトに加えるブランドが増えています。ウィメンズ由来の流れです。肌に触れる上質アイテムを提案することで着心地を提供しながら、顧客との関係さえインティメイト、親密なものにすることも狙っています。