僕は学生時代、陰キャでした。
教室の隅っこで、スクールカースト上位のギャルたちが盛り上がっていると、「もしかして自分が笑われてるのでは?」とビクビクしながらも、話の内容にはこっそり耳をすませていました。
最上位ギャルの「昨日さ〜、彼氏がさ〜」というぬるっとした導入から始まる、どこに着地するか分からない会話。でも、なぜか最後は「なにそれウケる!」で爆笑して終わる。話の筋や結論より、テンションと共鳴で空気を動かす。そのいい感じの“雑さ”に、「よくそんな話で笑えるな」「でも自分にはできないな」と感心していたのを覚えています。
数年前、「ギャルをおじさんたちの会議に送り込む」という“ギャル式ブレスト”が話題になりました。長年ルーティン化した会議形式も、精緻に組み立てられたプレゼン資料も、「てか、それって意味ある?」というギャルの遠慮ない一言で吹き飛ばされる。やはりギャルの“雑さ”が不思議と場の空気をほぐし、誰も見えていなかった論点や、本音の議論を引き出すことすらあったのです。
ギャルの会話はアジャイル的です。正解を決めず、ぶつかり合いながら転がしていく。とりとめがないようで、その中にセレンディピティーが眠っている。
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