ファッション
特集 展望2024 第9回 / 全13回

米中の「WWD」エディターが語る、2023年の総括&24年の展望 “カルチャー重視”がキーワード【PART 2】

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2023年は、コロナ禍こそ落ち着きを見せたものの、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は膠着状態が続き、イスラエル・パレスチナ情勢が悪化の一途をたどるなど、地政学上の不透明感は増すばかりだった。また、世界第1位の経済大国である米国の景気減速や、一大消費市場である中国の回復が予想よりも芳しくないことから、ファッション業界でも業績が悪化する企業が続出。一方で、生成AIや環境負荷の低い新素材の開発といった革新的なテクノロジーにより、これまでにない未来をよりリアルに描けるようになった年でもある。世界をリードする市場を抱える中国と米国の「WWD」エディターに、業界の現在地と24年の展望を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月25日号&2024年1月1日合併号からの抜粋です)

“正常化”した時代のファッション業界

2023年のファッション業界の動向は、いくつかの“バズワード”と共に記憶されるだろう。例えば、ノーマライゼーション、バービーコア、AI、ブランドアンバサダー、“ばかげたほど大きな”レザーグッズなどが挙げられるが、やはり最も印象的だったのはクワイエット・ラグジュアリーだ。

コロナ禍から解放された幸福感や、いわゆる“リベンジ買い”が落ち着きを見せ、天井知らずに売り上げを伸ばしていたラグジュアリーブランドがやや失速し始めた。米政府が景気刺激策として国民に配った給付金を、高額なスニーカーやハイブランドの革小物に注ぎ込んでいた人々が我に返り、財布のひもを締めているからだ。ここ数年、2ケタ成長を続けてきた欧州の高級メゾンは、この新たな正常化の局面を受け、今後は1ケタ台半ばの伸びで満足せざるを得なくなるだろう。

米国から好景気のバトンを受け取るかに見えた中国は、弱いマクロ経済と不動産危機に直面し、回復が遅れ気味だ。あらゆるブランドが波乱含みの24年に向けて戦々恐々としているが、英投資銀行バークレイズ(BARCLAYS)は、「ブランド力が強く、質の高い商品を持つブランドは、今後さらに高い業績を上げられる」と予測している。また、中国人観光客が戻ってくることで、落ち込んでいた欧州や北米の消費者心理も改善されていくのではないか。

23年の振り返り:「カルチャー・ アンバサダー・巨大化」

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