ファッション
特集 展望2024 第3回 / 全13回

リベンジ消費一巡で正念場はここから 国内アパレル市場の2024年、二極化で中間層は消えた?

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リベンジ消費一巡で正念場はここから 国内アパレル市場の2024年、二極化で中間層は消えた?

1ドルが140円を超える円安、長引くロシア・ウクライナ紛争とパレスチナ紛争の勃発、猛暑と暖冬―経済も社会情勢も地球環境も不安定だった2023年は、ファッション&ビューティ業界にとって、どんな年だったのか。

コロナ禍を経て、資本や体力のある強者がさらに強くなる傾向にあったが、引き続きLVMH、インディテックス(「ザラ(ZARA)」等)、ロレアルといったトップ企業は盤石。ファーストリテイリングも過去最高業績を更新した。特にLVMHは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)起用で大きな注目を集め、「ディオール(DIOR)」のコスメの好調ぶりで圧倒的な強さを見せた。一方、ケリングやエスティ ローダーにとっては課題が見える年だった。

消費は引き続き、高額品が好調。外商をアップデートした伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店は、過去最高売上高をマークした。同時に円安を追い風に訪日客が急増。ブランドも商業施設もインバウンド需要の有無に大きな影響を受けている。

そんな23年を編集部員が重大ニュースを挙げながら総括し、24年を予測。米中の「WWD」エディターによる振り返りと展望コラム、23年のニュース時系列まとめ、ヒットアイテム番付と共にお届けする。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月25日&2024年1月1日合併号からの抜粋です)

記者プロフィール

リベンジ消費一巡、正念場はここから
二極化で「中間層が消えた」は真実か?

林芳樹ビジネスデスク(以下、林):今年一番印象に残った取材は、西武池袋本店のストライキだった。過去の遺物だと思っていたストライキが、令和に実行されたことに驚くと同時に、従業員300人ほどが暑い中通行客に一生懸命呼びかけていた姿が目に焼きついている。この影響かは分からないが、労働組合運動といったものがその後いくつか出てきた年だった。

本橋涼介編集部記者(以下、本橋):確かに、格安航空会社のジェットスター・ジャパン(JETSTAR JAPAN)の労組などでもストが取り沙汰された。小売りやファッション業界の枠を超え、そごう・西武の61年ぶりのストは影響を与えたのかも。コロナ禍中の“生活必需品”“豪奢品”論争の時と同様に、社会の中での百貨店の存在感の大きさを、逆説的に感じた。

五十君花実副編集長(以下、五十君):ストもその一例として、働いている人たちに改めてフォーカスが当たった年だったともいえる。2023年のアパレル業界は賃上げラッシュでもあった。

林:ファーストリテイリング(FAST RETAILING)は3月に国内従業員の報酬を最大で40%引き上げた。他社も給料を上げなければ、もう販売職を中心に働き手が集まらない状況だ。これまではどんどん若い人が入ってくる業界だったため、企業は客の方だけ見て商売をしていればよかったが、今は働き手も大切にしないと客も集まらない。

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