ファッション

「MSGM」の2020年春夏はブランドのDNAを凝縮 10周年を祝うカラフルでエネルギッシュなコレクション

 マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)=クリエイティブ・ディレクターが2009年に立ち上げた「MSGM」は、今年10周年を迎えた。ミラノ・ファッション・ウイークで発表された2020年春夏ウィメンズ・コレクションは、それを記念したもの。ファッションショーで使われるのは初めてだというトリエンナーレ・デザイン美術館の庭園を会場に、暖かな日差しが降り注ぐ中、カラフルでエネルギッシュなショーを見せた。

回顧的ではなく
未来を見据えたコレクション

 ショー直前のバックステージで、数多くのメディアからの取材に対応するマッシモは、「10周年を迎えることができて、とても嬉しいし、誇らしい。このコレクションは10年間を称えるようなもので、一つ一つのルックから『MSGM』のDNAを感じてもらえると思う。ボウ(リボン)やラッフル、フリンジといったディテールから、ツイードやレース、フラワープリント、タイダイなどの素材、そして鮮やかな色使いまで、ブランドのシグネチャー的な要素をちりばめているからね。ただ、回顧的なものではなく、未来を見据えている」と話した。

 その言葉通り、コレクションは「MSGM」らしいポップでガーリーな雰囲気を漂わせつつも、その女性像が10年を経て成長してきたようにも感じさせるものだった。ショーは、チェックツイードのコートに大きなボウタイ付きのポプリンシャツを組み合わせたルックからスタート。その後も、透け感のあるシルクオーガンジーのドレスと素朴さを感じさせるローゲージニットを重ねたり、フェミニンなラッフルとパフスリーブを配したトップスにサイクルパンツにタイトなデニムショーツを合わせたり。ラストには、総レースで仕立てたテーラードルックと、裾をフリンジ状に仕上げたツイードのドレスやコートを披露し、大人の階段を上る「MSGM」ガールのイメージを際立たせた。

 ゼロからミラノ・ファッション・ウイークに欠かせないブランドを確立したマッシモは、10年の間に「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを経験。さまざまなコラボレーションを手掛け、今年5月には個人のプロジェクトとしてアートの支援活動もスタートさせるなど、彼自身も成熟してきた。正直なところ、近年は少し難解で共感しづらいコレクションもあったが、今シーズンは昔からのファンが求めるような「MSGM」らしさ満開。「これまでで初めて、映画や音楽、アート作品といった具体的なインスピレーションがないシーズンなんだ。考えたのは、純粋に『MSGM』らしいということだけ」と語るように、その潔さが魅力的なコレクションを生み出したのだろう。

ウエアにリンクする
印象的なアイメイク

 コレクションを最大限に引き立てるヘアメイクを担当したのは、メイクアップアーティストのリンジー・アレキサンダー(Lynsey Alexander)とヘアスタイリストのジャワラ(Jawara)だ。メイクのキーワードは、「ヤング&フレッシュ」「コンテンポラリー」「ロースキン」。「M・A・C」の“ストロボクリーム”で若々しく透明感のある肌を作り、クリームアイシャドウ“ペイント ポット”をチークとして使うことで立体感を加えた。そこにアクセントを加えるのは、ウエアにリンクする鮮やかなカラーのアイメイク。赤や黄色、ピンク、青、黒などのジェルクリームアイライナー“クロマライン(CHLOMALINE)”を使い、まぶたにブロックのようなラインを描いた。

 一方、ヘアのインスピレーションは、寝過ごした時のようなスタイル。ヘアアイロンで作るゆるいウェーブをベースに、前髪はそれぞれのモデルの個性を生かした。マッシモからのリクエストは、「エフォートレスで完璧過ぎないヘア」とジャワラ。「1週間くらい洗っていないようなクールな光沢が特徴。動きがあって、少しグリーシーな雰囲気のルックに仕上げた」という。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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