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アメリカで無人トラックによる貨物輸送開始

 自動運転トラックを製造する米スタートアップ企業のスタースキー・ロボティクス(STARSKY ROBOTICS以下、スタースキー)は8月8日、インターネットで貨物仲介を行うロードスマート(LOADSMART)と共に、全ての過程において人の介入を一切必要としない無人トラックを貨物輸送のために派遣したと発表した。業界初の完全無人トラックでの輸送テストをフロリダ州にある高速道路の閉鎖された区間で実施。ロードスマートが人工知能(AI)をベースにした価格設定システムと積載マッチング技術を駆使して、予約を受け、値付け、入札した貨物を、スタースキーの自動運転トラックがピックアップし、目的地へと運搬した。

 この画期的な取り組みの鍵となったのは、スタースキーが新たに実用化したアプリケーション間の連携を可能にするためのインターフェース「ハッチ(HUTCH)」だ。「ハッチ」では、提携する貨物仲介業者と主要な荷送人がスタースキーのオペレーションに直接アクセスすることが可能。電話などで問い合わせたり見積もりを取ったりすることなく、同社のトラックの空いた貨物スペース利用を入札することができる。これにより、ロードスマートのプラットフォームとのシームレスな統合が可能になった。

 「われわれは送り手から受け手まで自動化された配送・物流サービスを提供するというビジョンを掲げている。その中で自動運転車は重要な役割を果たしている」とリカルド・サルガド(Ricardo Salgado)=ロードスマート最高経営責任者(CEO)。「スタースキーとの協業によって、われわれはサプライチェーンの効率化を可能にする最先端技術を顧客に提供する先進企業へと飛躍できる」と話す。

 一方、ステファン・セルツ・アクスマカー(Stefan Seltz-Axmacher)=スタースキーCEOは、「ライドシェアリング・サービスの優位性が初めてトラック輸送にまで適用された」とし、ロードスマートと成し遂げた完全にデジタル化されたプロセスを称賛。「従来のトラック運送会社において、1回分の貨物を積んだそれぞれのトラック派遣にフルタイムの従業員5人が携わっているというのは珍しい話ではない。ロードスマートのようなインターネットを駆使した貨物仲介業者(eブローカー)とタッグを組むことにより、われわれは無人トラックの安全性確保に注力しながらも、バックオフィスでの人の介在を全てなくし、発送プロセスをシームレスに変えることができる。スタースキーの『ハッチ』により、定期的に自動で積載された貨物を自動的に発送できるようになるだろう」と説明する。

テキサス州の高速道路が舞台

 さらに、テキサス州では無人トラック輸送が急拡大している。長距離に特化した無人トラック輸送技術を開発するスタートアップ企業のコディアック・ロボティクス(KODIAK ROBOTICS以下、コディアック)は8月7日、安全対策としてドライバーを乗車させた自動運転トラックでの商用配送を開始した。1年前にシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億円)の資金を調達し、創業からわずか16カ月にして実際の道路での運用にこぎつけたことになる。“真の貨物運送会社”を掲げる同社はまた、ダラス・フォートワース地域に継続的な技術テストと貨物輸送のオペレーションをサポートする新たな施設を構える計画も発表した。

 自動運転トラック輸送を支持する人は、運送会社の従業員にとっても、同じ道路を利用する一般ドライバーにとっても、無人運転が同業界をより安全なものに変えると考えている。加えて、自動運転のセミトレーラーに関わるコスト上のメリットも指摘する。その点についてコディアックは、同社の技術が「貨物輸送のコスト、そして長距離の場合は輸送にかかる時間も削減するだろう。顧客に商品を早く届けたいブランドや小売店にとっては利点しかない」と主張する。

 また、輸送研究を行うテキサスA&Mトランスポーテーション・インスティチュートのアシスタント・エージェンシー・ディレクターであり、自動輸送戦略に詳しいクリストファー・ポー(Christopher Poe)博士は、「テキサスは、インターネットに接続された自動運転車両のテストと導入におけるリーダーだ。新たな技術の安全な配備を行うために学術機関や公的機関と共に取り組むコディアックの意欲は、われわれの輸送システムに大きな価値をもたらすだろう」と話す。

 市場調査会社のアライド・マーケット・リサーチ(Allied Market Research)によると、北アメリカを最大の市場とする世界の自動運転トラック輸送産業は、来年には10億400万ドル(約1064億円)に達すると予測されている。さらに、今後5年間は年平均成長率10.4 %で成長し、2025年までには16億6900万ドル(約1769億円)に達する見込みだという。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。